日本では、1年間で食料消費全体の3割にあたる約2,800万トンもの食品が廃棄されているという事実をご存じだろうか。このうち、売れ残りや期限切れ、食べ残りなど本来食べることができたはずの「食品ロス」は約632万トンにもおよび、日本人一人当たりに換算すると、なんと毎日お茶碗一杯分もの食べ物を捨てている計算となる。
毎日の食事で意識することはほとんどないかもしれないが、私たち日本人は食料の大半を輸入に頼っていながら、一方では大量の食品を捨てているという現実が目の前にあるのだ。
食品ロスの問題は決して新しい問題ではなく、既に多くのボランティアやNPOらが解決を目指して取り組んでいる。しかし、飲食店から生まれる余剰食品については未だに課題が多いのが現状だ。そこに目をつけたのが、レストランや小売店から出る余剰食糧を定額でお手頃な価格でテイクアウトできるアプリ「Reduce GO」だ。
東京に拠点を置くSHIFFT社が開発中のこのアプリは、日々の食費をできる限り抑えたいユーザーと、食品廃棄ロスを少しでも減らしたいレストランや小売店をマッチングするサービスだ。
IDEAS FOR GOODでは以前にも米国ボストン、ケンブリッジ発の食料廃棄ロス削減アプリ「FoodForAll」をご紹介したが、Reduce GOも同様のアプリとなる。アプリの使い方はとても簡単で、ユーザーはアプリに表示される現在地周辺の余剰食品一覧の中から食べたい料理を探し、タップして注文したら、あとはお店に受け取りにいくだけだ。月額1,980円という定額で毎日2回まで注文することができ、注文のたびに料金を支払う必要もないため手間もかからない。
ユーザーは手頃な価格で美味しい料理を手にすることができ、食料廃棄の削減にも貢献できる。また、飲食店や小売店は費用が一切かからずに廃棄ロスを減らすことができ、収益の一部も還元される。まさに三方よしの仕組みとなっている。
現在は年内のリリースを目指して事前登録を受け付けており、まずは東京23区からサービスを開始し、その後主要都市を中心に全国へ拡大する予定だという。開発を手がけるSHIFFTの森園氏によると、「有料会員数30万人以上、飲食店舗数1.5万店以上」が目標とのことだ。
同氏はReduce GOの開発経緯について、「アイデアとしては新しいものではなく、海外でも同類のサービスが展開されている。しかし、そのモデルで問題解決に100%コミットできているのか、日本と海外の食文化は違うのではないかという疑問があった。そこで、ゼロベースで考えてビジネスモデルを設計し、日本向けサービスとして展開していくことにした」と語る。
日本には昔から「もったいない」という考え方が浸透しているが、それを日々の食生活の中でしっかり実践できていると胸を張って言える人は一体どれだけいるだろうか。Reduce GOは、ITの力とシンプルなビジネスモデルを通じて、「もったいない」の精神をふたたび私たちの日常に取り戻してくれるツールだ。
森園氏は「私たちは日本中が『楽しくエコな食生活』で満たされる社会を目指している。そのためにはReduce GOを通じてインフラを作らなければならない。たくさんの人が集まり生活スタイルが変われば世の中が変わる」と意気込みを語る。
たった3タップでも、世界は変わる。少しでも毎日の食費を抑えたいという方は、ぜひ登録してみてはいかがだろうか。
【参照サイト】Reduce GO
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(※画像:Reduce GOより引用)