27トンの海洋廃棄物を製品パッケージへと変身させたLUSHの想い

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海洋廃棄問題は非常に深刻で、毎年800万トン以上のプラスチックが海洋に投棄されており、およそ5兆個のプラスチックが浮遊していると推定されている。これら大量のプラスチックが原因で、毎年10万人以上の海洋哺乳類が死亡している。

イギリス発のコスメ・バス用品メーカーとして有名なLUSHが、この海洋廃棄物を削減するプロジェクトとして、海洋汚染の原因となるプラスチックを使い同社の製品パッケージに生まれ変わらせるという新たな試みをスタートさせた。LUSHは、独創的なデザインとカラフルな色、そして香り高い石鹸や化粧品を100%ナチュラルな成分から作っており、日本でも人気のブランドだ。

同社はカナダのオーシャンレガシー財団と提携して、ブリティッシュコロンビア州にあるLUSHバンクーバー本社の近くに位置する海とバンクーバー島の海岸線から27トンにもおよぶプラスチックを取集した。そして、そのプラスチック廃棄物を都市資源グループによってプラスチックペレットに変換し、その他の廃棄物と組み合わせて、シンプルな漆黒の100%リサイクルボトルへと変身させたのである。

実は、LUSHが海洋廃棄の問題へ取り組むのはこれが初めてのことではない。かねてより環境保護やサステナビリティの分野では先進企業として知られているLUSHは、これまでにも「get naked」という過剰包装に対する意識を高めるためのキャンペーンを行ったり、世界オーシャンズデーには同社の商品サメ・フィン石鹸を復活させ、その収益をロングスチュワート海洋保全基金へ寄付したりするなど、様々な活動を展開してきた。

何百万トンという想像もつかないような驚くべき数字の海洋廃棄物を個人の力で大幅に減らすことは到底できないが、廃棄物を削減するために努力を重ねているLUSHのような企業をサポートすることでその一端を担うことなら、私たちにもすぐにできるのではないだろうか。消費者として商品を購入することも、こうした取り組みを誰かにシェアすることも、その小さな一歩が積み重なっていけば、大きな変化をもたらす力になる。

海洋廃棄プラスチックからできたパッケージを利用しているLUSHのベストセラー製品は、「Plum Rain Shower Gel」「Whoosh Shower Jelly」「Dirty Springwash Shower Gel」「Charity Pot Body Lotion」。最後のCharity Pot Body Lotionは、環境に優しいパッケージだけではなく売上も100%が草の根の環境保護活動を展開している団体へと寄付される。

このように世界的に有名なブランドが率先して環境問題に取り組み、自社の製品づくりに社会貢献を統合させていく事例は増えている。ただ贅沢であるというだけでは消費者から選ばれなくなっているこの時代に、長く愛され続けるサステナブルなブランドであるためには、「そのブランドを支持することが確かに社会のためになっている」と人々に確信してもらうことが重要だ。LUSHの取り組みは、それを体現する好事例だと言えるだろう。

【参照サイト】Bustle.com: How LUSH Is Turning Ocean Trash Into Packaging

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