ドローン植林がマングローブを救う。ミャンマーで始まる森林保護のイノベーション

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アジア最後のフロンティアと呼ばれ進境著しいミャンマー。長年にわたる乱伐や災害で森や生態系は荒れ果てている。過去5年間、エーヤワディー川デルタの村人たちは失われたマングローブの生態系を回復させようと、苦労して270万本もの木々を植林してきた。しかし、手作業による植林には膨大な手間と時間がかかるため、森を失う速度に追いつかない。

その課題を解決する切り札として期待されているのが、ドローンのテクノロジーを活用した植樹だ。NASAの元エンジニアであるLauren Fletcher氏が設立したスタートアップのBioCarbon Engineeringのドローンは、1日に10万本の植林を行うことができ、人々はそのぶん浮いた時間で生育中の若木の世話に集中することができる。

同社は今年9月から非営利団体のWorldview International Foundationと共同でこの地域のドローン植樹プログラムを開始予定だ。現在までに同団体は村人らと共に750ヘクタールの植林を行ったが、今後ドローンはさらに250万ヘクタールに100万本の植樹を行う。計画では、最終的により広い地域に10億本の木を植えることを目指している。

植林にあたり、ドローンは最初に上空飛行により該当エリアの地形と地質に関する詳細なデータを収集する。次にアルゴリズムを活用してそのデータを解析し、樹木を植えるための最良の場所と最良の種を選択する。そして、地面を低空で飛行しながら自動的に地図をたどり、発育しやすいように設計された種子ポッドを発射する。

技術的には、1人のドローン操縦士が6機のドローンを同時に監視し、1日に最大10万本を植えることが可能だが、国によっては規制により1機ごとにパイロットが必要だ。ドローンは手作業で木を植える人よりも少なくとも10倍高速で、費用は半分で済む。英国で1年以上行ったテストでは、木々は良好な生存率を示しており、ヘリコプターで種を蒔くより生存率が高く、種類によっては手植えに匹敵するという。

水をろ過してくれるマングローブの根は、魚をはじめとする多様な生態系にとって貴重な存在だ。しかし、ミャンマーでは稲作やエビ養殖のための伐採や燃料利用のため1990年代にはマングローブ地帯の75%が失われ、結果として魚は激減し、地元の漁業にもしっぺ返しとなった。

また、マングローブの木々は嵐から海岸線を保護する役割もあったが、その木々が失われたことで嵐による被害は拡大し、2008年には少なくとも13万以上が死亡した。そして、熱帯雨林よりはるかに多くの炭素を吸収してくれるマングローブは気候変動対策にとっても重要だ。マングローブの喪失は、ミャンマーだけではなく世界全体にとっての危機なのだ。

BioCarbon Engineeringは、パリ協定の気候変動目標を達成するために2030年までにインドの国土と同じ規模の森林を回復する必要があるとしているが、現状の速度では到底追いつかない。災害はいつ起こるかわからず、弱者を守る海岸の緑色の盾を再建するのは時間との闘いだ。喫緊の対応が求められるなか、この革新的なドローン技術は心強い助け舟になりそうだ。

【参照サイト】BioCarbon Engineering

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