米マイクロソフト、2050年までに創業以来排出した全CO2を除去すると宣言

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現在世界が直面する大きな社会課題の一つが、地球温暖化をはじめとする気候危機である。昨今、その危機感は増しており、様々な場面で地球温暖化対策が叫ばれている。中でも温室効果ガスであるCO2の削減は急務であり、各国の政府、企業がさまざまな対策に乗り出している。

そうした中、アメリカの大手ソフトウェア企業マイクロソフトが、これまでさまざまな企業が打ち出してきた対応策から一歩進んだ、先進的な計画を発表した。2030年までにカーボンネガティブ(※)を実現し、2050年までに、1975年の創業以来、自社が直接的および電力消費等によって間接的に排出してきたすべてのCO2を環境から除去するというものだ。自社の直接排出だけでなく、サプライチェーン全体の排出も削除する。

(※この記事内での「カーボンネガティブ」は、CO2吸収量がCO2排出量を上回る場合のことを指す。IDEAS FOR GOODでは通常、同じ状態のことを「カーボンポジティブ」と表現しているが、マイクロソフトは「カーボンネガティブ」と表現するため、この記事内ではこれに従う。)

Microsoft President Brad Smith, Chief Financial Officer Amy Hood and CEO Satya Nadella

マイクロソフト社長のブラッド・スミス、最高財務責任者エイミー・フッド、CEOサティヤ・ナデラ。Image via Microsoft

同社は2012年にカーボンニュートラルを達成しているが、プラスマイナスゼロの状態にするだけでは不十分だとして、CO2の除去量が排出量を上回るようにする「カーボンネガティブ」を目指すとした。

2030年までにカーボンネガティブ、そして、2050年までに創業以来排出してきたすべてのCO2を除去するため、マイクロソフトは詳細な計画を掲げている。具体的には、今後5年程度で直接排出量とエネルギー利用等による間接的排出量をゼロ近くまで削減し、さらに2030年までにサプライチェーンを含めたすべての間接的排出量を半分以上削減するとともに、植林等を含めた「ネガティブエミッション技術」(CO2を回収・除去する技術)を活用してCO2の除去を進める。

これらを実現するためマイクロソフトが打ち出した、施策の一部を紹介する。

  • 2025年までに、エネルギー供給を100%再生可能エネルギーに移行する。
  • 2030年までに、世界中のマイクロソフトのキャンパスで運営する車両を電気自動車に切り替える。
  • 2012年から導入している「内部CO2料金」(社内で排出するCO2に対して支払いを課すシステム)の支払い対象を広げる。各事業部門がCO2排出量に基づいて支払い、その資金はサステナビリティ改善のために使われる。
  • 2021年7月までに新しい調達プロセスとツールの実装を開始し、サプライヤーが排出量を削減できるようにするとともに、サプライヤーに対し排出量削減のインセンティブを与える。

また、新しいCO2削減および除去の技術開発を加速するため、10億ドルの自己資本を投入して「気候革新基金」を設置する。

他企業に目を向けると、物流大手のアマゾンが2040年までのカーボンニュートラルを宣言しており、昨年12月にはアパレル86社が2050年までのカーボンニュートラルを宣言したが、マイクロソフトの動きはこれらの企業の先を行く。

個人の努力の積み重ねももちろん重要だが、地球温暖化の状況は、もっと大きな規模で積極的な対策にコミットしなければならない局面まできている。今後さらに必要とされるのは、地球温暖化抑止を飛躍的に推し進める革新的な公共政策や、まだ見ぬ新しいテクノロジーである。これまで大量の二酸化炭素を排出して発展してきた国や企業は、その責任を黙って見過ごすわけにはいかない。今回、世界的な大企業であるマイクロソフトがこのような計画を宣言したことは、ほかの企業や政府にも大きな影響を与えていくだろう。

【参照ページ】Microsoft will be carbon negative by 2030