家具購入の際、いざ自宅に置いてみると「サイズが合わなかった」、「色がマッチしなかった」といった失敗をしたことはないだろうか。家具は実物もコストも大きな買い物であるだけに、そのぶん負担は重くのしかかる。失敗しないように事前に寸法を測ったり頭の中で色のイメージを巡らせたりしたとしても、やはり想定と現実とのミスマッチを完全に防ぐことはなかなか難しい。
スウェーデンの家具メーカー大手IKEAは、この問題をAR(拡張現実)テクノロジーで解決しようとしている。同社は、空間をどのようにアレンジするかを事前に体験し、シェアすることができるARアプリ「IKEA Place」をローンチすることを発表した。9月下旬に利用可能になるこの新しいアプリは、自宅、オフィス、学校、スタジオなど、空間がどのように変化するかを実験し共有することができる。
ソファーやコーヒーテーブルまで、IKEA Placeのすべての製品は3Dであり、正しいサイズ、デザイン、機能になるように設定されている。
「IKEA Placeでは、自分の場所でインスピレーションを得て、実際の設定でさまざまな製品、スタイル、色を指でスワイプして試し、購入を決定するのが簡単になる。ARとバーチャルリアリティは、インターネットと同じように小売業界のゲームチェンジャーになる」とInter IKEA Systemsのデジタル・トランスフォーメーションリーダーを務めるMichael Valdsgaardは言う。
Appleの新しいARKitテクノロジーをベースに構築されたIKEA Placeは、IKEAのデジタル戦略の重要な節目となっている。IKEAは、このAR技術を導入し、人々が家具を購入する方法を変える世界で最初の家具ブランドになる。このアプリは部屋の寸法に基づいて製品を98%の精度で自動的に調整することができ、非常に精密なAR技術を用いて素材の質感や家具に光と影がどのように映るかまで見ることができる。
また、部屋にIKEA製品を仮想配置するだけではなく、アプリでその姿をキャプチャして、友人と画像やビデオで共有することもできる。そして納得できたらIKEAのウェブサイトから直接製品を購入するという流れだ。
IKEA Placeの使い方はとても簡単で、まずiOS 11にデバイスをアップグレードしたことを確認し、Apple App StoreからIKEA Placeアプリを無料でダウンロードする。そして家具を置きたい場所の床を携帯でスキャン。アプリで利用可能な製品のリストを参照し、配置するアイテムを選択する。あとは動かしてスペースに製品を置くだけだ。
このアプリ公開時から2,000種類以上ものIKEA商品を試すことが可能で、今後は新製品の投入時にも重要な役割を果たす。まずリリース時は、ソファー、アームチェア、コーヒーテーブル、売れ筋のストレージなど、リビングルーム向けの大きな家具に焦点を当てている。
北欧独特の洗練されたコンセプトの家具を低価格で提供し、48カ国で392以上のストアを展開するIKEA。スマホ1つで簡単に出来るリアルなシミュレーションを実現することで、消費者の購買意欲高め購買意思決定をより快適なものにし、また満足度が高まることで返品による双方の労力やコストを抑えることができて、非常に合理的だ。
【参照サイト】IKEA Launches IKEA Place, a New App that Allows People to Virtually Place Furniture in Their Home