グラフィティなどのストリートアートは、アウトサイダーのアートだと言われる。美術館に収蔵されるような作品を王道とした時のはみだし者。こう言うと語弊がありそうだが、高齢者もある意味社会のはみだし者だ。勤労や子孫を残すといったことを王道とした時のアウトサイダー。もっとも今後高齢者の層がどんどん厚くなっていけば、そういう状況でも無くなるのだろうが。
そんな両者を強引に結びつけるわけではないが、ポルトガルのリスボンを拠点に活動するチームLATA 65では、高齢者がストリートアーティストとして活躍している。グラフィティアートの裾野を広げたいと考えたLATA 65は、高齢者にスプレー缶を渡し、描ける場所を探してもらい、思い思いの作品を壁に表現してもらう。その様子はとても楽しそうで、みな童心に返ったかのようだ。
LATA 65 の活動はぶっつけ本番で描くわけではない。参加者はまず室内のワークショップに参加し、ストリートアートの歴史を学んだり、グラフィティに必要なステンシルを作成したりする。ステンシルとは絵を描くときに使う型紙のことで、この上からスプレーを吹き付ける。それもこれもコンテンポラリーアートへの造詣を深めてもらい、高齢者と若者の橋渡しをするため、というのもあるが、やはりLATA 65 の一番の目的は「楽しんでもらうこと!」だ。楽しいは正義。生きるとは遊ぶこと。
LATA 65 が公開しているInstagram では、熱心に取り組むお年寄りたちの写真が多く載っている。LATA 65のロゴがかっこいいし、参加者たちが準備をしたりアートを描いたりする姿からは、充実感が溢れ出ている。近頃の高齢者は元気だ。人生100年時代、年齢を理由に小さく収まらず、立派なパンクスとして精進していって欲しいと思う。
【参照サイト】LATA 65・Instagram photos and videos
【参照サイト】LATA 65