流したトイレットペーパーと再会できるオランダの自転車道

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自転車の国オランダには、国全体で35,000キロもの自転車道がある。しかし、その中でもトイレットペーパーでできた自転車道というのは珍しい。フリースラント州の州都であるレーワルデンとスティーンスという町を結ぶ道にできたのは、世界初となるリサイクルトイレットペーパーで舗装された自転車道だ。

ここで言うリサイクルトイレットペーパーとは、牛乳パックなどを再利用してできたトイレットペーパーを指すのではなく、トイレットペーパーをリサイクルしたモノを指す。つまり、私たちが日々トイレに流す紙をリサイクルして道の舗装に使っているのだ。

トイレットペーパーで舗装すると聞くと汚いと思う人もいるかもしれないが、実際には排泄物とは別にして十分に殺菌されているので心配は無用だ。むしろ、廃水に含まれるセルロースという物質はオランダの道を作るうえで大切な役割を果たしている。雨の多いオランダでは水はけの良い道路が必要とされ、それを作るための材料を固定するのにセルロースが使われる。全て焼却処理して大量の二酸化炭素を排出しながらセルロースを破壊してしまうことに比べたら、この再利用のほうが環境に優しく有効活用になる。

こういった汚物から出るセルロースの今後の課題は、道路の舗装以外の使い道を探すことだ。というのも、セルロースは道に使うアスファルト混合物のわずか5%を占めるだけで、オランダにある全ての道を修復するとしても15,000トンもあれば十分だからだ。様々な廃棄物から出るセルロースは潜在的に年間100~200万トンもあるため、このままではセルロースの圧倒的な供給過多だ。

現在、セルロースの使い道については様々な実験が進められており、例えばイギリスではエネルギー源としての用途が模索されている。万物は流転する。見違えるほど綺麗になったトイレットペーパーと、思わぬところで再会するかもしれない。

【参照サイト】KNN Cellulose

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