2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」では、17の持続可能な開発目標(SDGs)の一つとして、質の高い教育の普及が掲げられている。
「学び」は、私たちに問題解決への手がかりを示し、一人ひとりの心と暮らしを豊かにしてくれる。知ること・学ぶことは、自分と異なる境遇にある人の立場や、彼らの抱える問題を理解し、接点を持つための第一歩でもある。
今回は、一人でも多くの人が学ぶ喜びを知り、教育の機会を得ることを目指すソーシャルグッドなアイデア7選をご紹介したい。
次世代を担う子供たちの学びをサポート
01. サッカーを通じてライフスキルを学ぶ駅ナカスタジアム「Station Soccer」
メトロポリタンアトランタ高速輸送機関(MARTA)の地下鉄の駅に、サッカースタジアムが建設された。アトランタ市は全米でも有数の犯罪多発都市として知られる。スタジアムは、子供たちが非行や薬物に走る代わりに、友達とサッカーをしながらライフスキルを学ぶ機会を提供する。
02. お菓子でプログラミングが学べる「GLICODE」
お菓子メーカーのグリコは、子供向けの無料プログラミング学習アプリ「GLICODE」を配信。子供たちは、お菓子を並べてアプリのカメラ機能で撮影すれば、キャラクターを動かしてゲームのステージをクリアできる。お菓子のターゲットに訴求しつつも、プログラミング人材の育成という社会的なニーズに対応。
03. 闘病中の子供に代わって登校する「AV1」
ノルウェーで開発されたAV1は、病気のため長期間学校に通えない子供たちの化身となって登校してくれるアバターだ。生徒は家や病院にいながら、スマートフォンやタブレットでAV1を遠隔操作し、実際に自分が学校にいるかのように、クラスメイトと交流したり、授業に参加したりできる。
04. 子供たちの未来を支えるアプリ「Kidfund」
「Kidfund」は、金融機関に出向くことなくスマホ上の簡単な操作だけで子供のための貯蓄ができるアプリだ。設定時にその貯蓄の一部を寄付する選択をすれば、寄付金は低所得層の子どもたちの進学資金の支援に充てられる。
広がる学びの機会
05. 通勤時間を学びのチャンスに変える「Kemet Radio」
エジプトの首都、カイロにある地下鉄の駅で、教育ラジオを流す取り組みが始まった。1プログラムの長さは平均的な列車の待ち時間を考慮した6分程度で、トピックはエジプトのアート、映画、経済など。多様なバッググラウンドを持つ乗降客に、国の歴史や文化への理解を深める機会を提供する。
06. オープンなオンライン講座を一括検索できる「Class Central」
誰でもオンラインで受講できるオープンな講座、MOOCが広がりを見せている。検索エンジンサイト「Class Central」は、多数のプラットフォームに分散する膨大な数のMOOCを横断検索し、学びたい講座を探し出すのを手助けしてくれる。
07. 識字率向上の必要性を体感!バーガーショップのキャンペーン
ファーストフードチェーンのバーガーキングは、世界識字率向上月間に合わせてアメリカの、とある店舗でメニューとパッケージを判読不可能な内容に変更。非識字者の大変さを、実際に体験することで理解してもらおうと実施されたキャンペーン。
まとめ
学ぶことは何かを成し遂げるための術であるとともに、学ぶという経験そのものが喜びでもある。
学習の機会を得ることが難しい社会が残る一方で、教育を受けることが当たり前となった社会では、「学び」は時として競い合うための手段にもなる。
高い識字率を誇る日本で暮らす私たちも、一人ひとりが学ぶ喜びを再認識し、その楽しみを伝えていくことで、学び得ること、学び合うことの尊さを次世代に継承できるのではないだろうか。
【参照サイト】SDGs(持続可能な開発目標) 持続可能な開発のための2030アジェンダ | 外務省
【参照サイト】目標4: 質の高い教育をみんなに | 国連開発計画(UNDP)