デジタル格差を乗り越えるガーナの先生に学ぶ、ネットのあるべき姿とは

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パソコンもない状況で、ICT(情報技術)の授業が行われる学校がある。そのひとつが、ガーナの都市クマシから北に車で2時間半ほど走ったところにある中学校Betenase M/A Junior High Schoolだ。この学校では2011年からずっとパソコンがなく、そういった環境の中で学生たちは高校進学の試験に向けてICTを学んでいる。

デジタルデバイド(情報格差)は先進国と途上国、都市と地方、人種や教育の違いなどで発生すると言われている。外務省のウェブサイトによると、デジタルデバイドは「あらゆる集団の格差を広げてしまう可能性を有しているため、その解消に向けて適切に対処しないと新たな社会・経済問題にも発展しかねない」となっている。

どうすればデジタルデバイドを解消していけるだろうか。

Betenase M/A Junior High SchoolでICTを教えるRichard Appiah Akotoは、子どものように柔軟な発想で自身が働く学校の現状を訴えた。彼は自分が担当する突飛な授業の写真をSNSに投稿し、その投稿が話題に話題を呼んだ結果、マイクロソフトがAkotoにパソコンを提供することになったのだ。

拡散された写真には、色とりどりのチョークを駆使して黒板にWordソフトの画面を描くAkotoの姿があった。そこにはWordのツールバーやスクロールバーなどが丁寧に描かれている。

そして写真と共にこうコメントした。「ガーナの学校でICTを教えるのはとても面白いよ」。その不満に支配されないあり方、どんな世界をも伸びやかに生きる力を持つ彼の様子に、世界中の人は微笑まずにはいられなかった。

様子を知ったマイクロソフトはSNSでこうコメントしている。「教育のデジタルトランスフォーメーションを進める先生たちをサポートすることは、私たちの仕事の核でもあります」。学校にパソコンはなかったが、Akotoはインターネットにアクセスできる環境があったことで、そして事実を鮮明に浮かび上がらせる写真という表現があったことで、マイクロソフトを動かす力を持った。

インターネットが普及したこの時代、私たちは巨大なデータベースと共に生きていて、文字も画像も映像も、情報の洪水の中からどの情報を採用するか選ぶことぐらいしかできない。情報には誤解や偏見も混ざるだろうし、一方的に構築された人物像が出回っているだけかもしれない。

それでも私たちは情報をゆっくりと吟味し、素敵だと感じたことを他者と共有し、議論し合いながら、みんなでインターネットのあるべき姿を構築していけるのではないだろうか。今回の一件からは、インターネットがもたらすあたたかいつながりへの希望を感じる。

【参照サイト】New Word order: Ghanaian teacher uses blackboard to explain software
【参照サイト】The story behind the viral photo of a teacher in Ghana showing students Windows on a blackboard
【参照サイト】ICT(情報通信技術)
(※画像:Quartsより引用)

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