新しい服を着て、街へ繰り出すとき。しゃんと背筋が伸びて、自然と口元がほころぶような、あのうきうきする気持ちは誰もが体験したことがあるだろう。だから私たちは、服を買うのが大好きだ。しかし、その影で年間1500万トンもの衣服が廃棄され、ゴミとなっている事実を、あなたは知っているだろうか。
北米や豪州でセカンドハンドストアを展開するSavers社は、そんな衣料の大量廃棄問題に取り組んでいる。彼らが最近タッグを組んだのが、洗剤・制汗剤などの消費財メーカー大手のユニリーバだ。Savers社が主催する「Give a Sh!rt」キャンペーンに共同で参画した両者は、衣料の大量廃棄問題を皆で解決していこうと、世界に強く呼びかけている。
同キャンペーンは、ニューヨークのウエストフィールド・ワールドトレードセンター内にあるショッピングモールで始まった。先月5日と6日には、高さ約8.5メートル、幅9メートルの巨大な女性のマネキンが、リサイクル衣料からできた美しいドレスを纏って現れた。
「シミなし・廃棄なし」をモチーフとしたこのインスタレーションをよく見ると、衣料の廃棄に関する各統計や、服を長持ちさせるためのヒント、衣料のリサイクル方法などが書いてある。彼らが伝えるのは「服を捨てずに、リサイクルしよう。」という、シンプルなメッセージだ。
Savers社とユニリーバによる衣料廃棄削減のアプローチは2つ。1つは、手持ちの服を長持ちさせることだ。
ほんの小さなシミがきっかけで、お気に入りの洋服を泣く泣く捨てた…… なんて経験をした人は多いのではないだろうか。ミレニアル世代が生涯、シミや少しの汚れが原因で捨てる衣服は、およそ3億着にのぼるという。
そんな現状への憂慮から開発されたユニリーバ社の洗剤は、付いてしまったシミをきれいに落とすだけではなく、洋服そのものにシミができづらくなる「シミ予防効果」を発揮してくれる。衣服を廃棄する根本的な要因を叩くことが、彼らの狙いだ。
では、シミ対策や手入れを十分に行っても、着られなくなった洋服はどうする?もう1つの方法は、寄付することだ。
先月展示されたインスタレーションには、服を寄付できるコーナーも設けられた。集められた服はすべて、ニューヨーク市内の非営利団体に寄付され、再利用される。そこでSavers社が諸団体から衣服を買い取り、状態のいいものをショップの店頭で販売する。
売れ残った衣服はすべて他のものにリサイクルされるか、発展途上国に寄付される仕組みだ。こうして、消費者は衣服をただ捨てるのではなく、誰かのために役立てることができる。
洋服の手入れのプロと、洋服リサイクルのプロの両社が提携した意義は、とても大きい。彼らの活動が、衣服の大量廃棄問題に対する人々の意識を高め、これからの行動を変えていくことを願ってやまない。
【参照サイト】Unilever Deodorants Portfolio Unveils The Stain-Less, Waste-Less Installation In Partnership With Savers® To Highlight The Issue Of Clothing Waste
【参照サイト】Savers