雨粒をエネルギーに変える太陽電池が誕生。太陽光発電の新たな一歩へ

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クリーンエネルギーの代表格といえば太陽エネルギーであり、世界中で最先端の技術開発が日々行われている。IDEAS FOR GOODで以前取り上げたオランダの海の上の太陽光発電所や、オーストラリアの夜でも発電する大規模な太陽光発電所など、それぞれの土地の特性に合った太陽光発電の技術も模索されているところだ。

また、2020年までにクリーンエネルギーの価格は化石燃料の価格と同等もしくはそれ以下になる、と予測されており、太陽エネルギーのさらなる可能性に期待が高まっている。

しかし、太陽光発電には短所もある。陽が出ない曇りの日や、雨の日に発電量が制限されることだ。この課題を解決するべく、中国・蘇州大学のZhen Wen氏などの技術者らが雨粒をエネルギーに変えてしまう太陽電池を発表した。

実は、これまでも雨の日に発電する装置は開発されていた。既存の太陽電池にシェードキャパシタもしくは摩擦によって発電する装置(TENG)を付けて、雨の雫の動きで発電していたのだ。しかし、これらの装置はサイズが大きく、製造が困難だった。

そこで研究チームは、よりハイブリッドなエネルギーシステムの開発に取り組み、「PDMS」と「PEDOT:PSS」という 2つの重合体(ポリマー)を市販のDVDの上に印刷した。PDMSはポリジメチルシロキサンという世界中で広く使用されるシリコンで、PEDOT:PSSはポリチオフェン系導電性ポリマーである。

研究チームは、まずPEDOT:PSSのレイヤーをPDMSに加えた。PEDOT:PSSのレイヤーは、TENGと太陽電池の相互電極として作用し、TENGから太陽電池にエネルギーを伝える働きをする。

この状態のPDMSに雨粒が触れて落ちると、TENGの性能が増すことが確認された。そしてPDMSとPEDOT:PSSは透明で光を通すため、雨が降っているときは雨粒から、晴れているときは太陽からエネルギーを生み出すことができるのだ。

研究チームは、このシンプルなデザインが、どのような天気でもエネルギーを生み出す新しいコンセプトになると考えている。

世界中で研究および技術開発が進む太陽光発電。土地の特性に合った太陽光発電技術、夜でも発電できる太陽光発電技術に続いて、今回、雨粒をエネルギーに変える太陽電池が発表された。今度は、どんな問題を克服する技術が開発されるのだろうと、今から楽しみになってしまう。エネルギー源の確保を目標とした研究者たちの地道な努力とアイデアと夢が、ひしひしと伝わってくるようだ。

【参照サイト】With a TENG, solar cells could work come rain or shine

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