電子機器から出る”ムダな熱”をエネルギーに変える、UCバークレーの研究開発

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私たちの仕事や生活に欠かせない、電子機器。電子機器は、電気エネルギーが変換されることで作動し、同時に熱も発生させる。コンピューターや携帯をしばらく使用し続けると、本体が熱くなっているのに気が付くことがあるだろう。

現在、世界では新たなエネルギー確保に向けて研究開発が行われているが、私たちは化石燃料や太陽光、風力などから得ているエネルギーを、実は十分に活用できていない。

アメリカでは、生み出されるエネルギーのなんと70%が、無駄な熱として放出されているという。そのほとんどは100℃未満の熱で、コンピューターや車、そして大規模な産業プロセスから発生する。さらに、この熱そのものが電子機器にダメージを与えることもある。

こういった無駄な熱を有効利用すべく、カルフォルニア大学バークレー校、通称UCバークレーの研究チームが、電子機器から出る熱をエネルギーに変える薄い膜を開発し、雑誌Nature Materialsで発表した。

この薄膜システムは、温度の変化によって生じた電圧差を、エネルギーに変換する「焦電エネルギー変換」と呼ばれるプロセスを使用している。焦電エネルギー変換は、熱力学サイクルを最大限に利用しており、発生した熱を効率よくエネルギーに変換できるという利点がある。

焦電効果については古くから知られているが、焦電システムの薄膜タイプの特性測定は、これまで十分に行われてこなかった。だからこそ、今回の研究は焦電のプロセスへの理解を深めることに大きく貢献する。

UCバークレーのLane Martin准教授が率いる研究チームは、厚さ50~100ナノメートルの薄膜を作成し、バークレー校の機械工学チームと共に、この薄膜を使った焦電装置で実験を行っている。温度と電流を測定して熱を発生させ、装置がどれだけエネルギーを生み出せるかを測定した。

(c)UNIVERSITY OF CALIFORNIA Berkeley

その結果、焦電エネルギー変換のエネルギー密度は1立方センチメートル当たり1.06 ジュール、出力密度は1立方センチメートル当たり526ワット、カルノー効率19%となり、今までの研究から新記録を達成した。

「この薄膜装置によって、熱がシステムの内外で発生し、今までにない焦電エネルギーが得られる。将来に向けて、新しいエネルギー源は必要だが、今すでにあるエネルギーをよりよく活用することも重要だ。」と、 Martin准教授は語っている。

研究チームは今後、無駄な熱の流れと温度の最適化を行っていくという。これまで回収が難しいといわれてきた、100℃未満の熱。この熱をもう一度エネルギーとして活用すれば、携帯やパソコンなどの充電時間が短縮できたりするなど、電気機器の消費電力を抑えることにつながり、エネルギー確保の道が大きく広がるだろう。

電子機器から出るムダな熱を、エネルギーに変える薄い膜。この研究のこれからが期待される。

【参照サイト】Thin film converts heat from electronics into energy
(※画像:UNIVERSITY OF CALIFORNIA Berkeleyより引用)