外遊びにはぴったりな天候の五月。子どもを持つ親のなかには、良い天気のなか公園などで遊ばせる方も多いだろう。しかし、その公園の樹木や芝生の手入れに農薬が使われていたら、と考えたことはあるだろうか。
米国のオーガニックヨールグルトメーカー、ストニーフィールド(Stonyfield)は、子どもたちが遊ぶ屋外の遊び場や、芝生、コミュニティースペースで使われる農薬の問題について関心を高める活動をスタートすると発表した。
米国では多くの遊び場や公園で除草剤や殺虫剤、防カビ剤が使われており、これらによく使われる化学物質は免疫や生殖機能、新陳代謝の発達を阻害する環境ホルモンが認められるか、もしくはその可能性が高いとされている。
「子どもは大人と比べて化学物質による副作用の影響を受けやすい。率直にいうと遊び場での農薬や化学物質の使用は禁止されるべきです」
ニューヨークにあるマウントサイナイ病院の子ども環境健康センター創設責任者、フィリップ・ランドリガン氏は言う。同氏によると子どもの肌は表面積体積率が広く、浸透性が高いため、化学物質が吸収されやすい。また、成長段階にある内臓も影響を受けやすく、有害な化学物質を排出できない傾向にあるという。
しかし遊び場で使われる農薬問題について親たちの関心は低い。ある調査によると、米国の69%の親は食べ物に使われる農薬を減らすことには関心を持っているが、ほぼ同割合の67%の親はスポーツや遊び場で使われる農薬には関心がないという。
一方、子どもたちの遊び場で農薬や除草剤などが使われていることを知った場合、そこでは遊ばせないと答えた親は三分の一にのぼった。
子どもの遊び場における化学物質の使用について世間の関心を高める必要性は高まっているが、残念なことに米国では化学物質の規制に関する資金源は大幅に削減されている。化学物質の影響について研究をしていた国立環境調査センターでさえ解体されたという。
そこで立ち上がったのがストニーフィールドだった。同社は1983年、ニューハンプシャー州の小さな農場にあった、非営利のオーガニック農業学校の運営資金を確保するため、農薬や化学物質を使わずにつくったヨーグルトを販売したことをきっかけにスタートしている。
以来35年間、食べ物の健康、人の健康、そして地球の健康のために事業を続けてきた。今回の取り組みは同社の35周年を記念するものであり、また、ミッションを実現するための取り組みでもあるのだ。
まずはこれから3年間、35地域において50万ドルを出資し、屋外の遊び場や公園のオーガニック化をはかるという。また、他の地域についても、今年の後半には正式に取り組みを立ち上げ、全国の家庭を対象に普及啓発を行なう他、それぞれの地域で取り組みをすすめるための手法や資金源の提供を行なっていくという。
ストニーフィールドの共同創立者でありChief Organic Optimistのギャリー・ハーシュバーグ氏は言う。「私たちは米国にいる全ての子どもたちを有害な化学物質から守りたいと思っています。子どもたちは、有害な化学物質、毒性のある、難分解性の農薬が使われていない場所で、安心して遊ぶべきです」
化学物質の心配をすることなく、安心して遊べる「オーガニックな公園」。日本でも必要な取り組みではないだろうか。