アートで環境問題を訴える。メキシコで開催されたアーティビズムとは?

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水は、わたしたち人間を含め、世界のありとあらゆる動植物の生命にとって重要なもの。

しかし、その水は今、水不足や海洋汚染など、あらゆる危機にさらされている。そして、水問題は発展途上国だけではなく、先進国でも深刻化しており、私たちにとっても身近なものだ。

そのためNGO団体や国際機関だけが動いてどうにかできる問題ではなく、地球に生きるわたしたち一人ひとりが考え、行動を起こさないといけない。では、人々の意識を向けさせるにはどうすれば良いだろうか?

メキシコのケレタロという都市で行われた”Water is One”というイベントは、海、川などの水を守ろうという思いをアートをとおして伝えようとしている。

“Water is One”はPangeaSeed Foundationという非営利組織によるSeaWalls Artists for Oceansのプログラムの一貫で、開催国であるメキシコのペイント会社、Nueve Arte Urbanoとの協賛で行われた。

@Yoshi Travel

ケレタロはメキシコの中心に位置し、北部の乾燥高原地への入り口、貿易の交差地点でもある。内陸地の水問題へのメッセージを呼びかけるのにふさわしい土地だ。

今回、アートをとおした社会活動やイベントで伝えたいこと、目指す理想的な世界について、PangeaSeed Foundationの創設者であるTre’ Packed氏にインタビューした。

インタビュー

創設者のTre’ Packed氏

Q:PangeaSeed Foundationはどのようにはじまったのですか?

数年かけてアジアを旅行して、野生生物の違法取引に関するドキュメンタリーを作っていたんだ。その最中に、大切に思ってきた海が、毎日のように破壊されているのを目の当たりにするってのは、心が痛むものだったよ。

それからは、もともと趣味だったアートと海洋保護を結びつけて、2009年にPangeSeed Foundationを創設したんだ。

Q:アートである壁画を使ってどのように水問題を表現するのですか?

このプロジェクトは、海水だけでなく淡水も含む水問題を目に見える壁画にすることで、人々に呼びかけ、伝えているんだ。

@Yoshi Travel

たとえば今回のイベントは、水の歴史やメキシコの文化に水がどれほど大切かということに焦点をおき、人間の活動によって影響を受けている水源の汚染が、水を利用して生きている多くの種に影響を与えているってことを訴えているんだ。

Q:今回のイベント名、”Water is One”が意味するものとは?

Water is One、これって実にシンプルなんだけど、人々の心に響くものだって思っているよ。人間も、それどころかどんな種だって、水なしでは生きることはできないんだ。水は生命にとって大切な鍵となるもの。もし水が汚染されていたら、それは僕らの生活に関わるもの。

このプロジェクトをとおして、世界中に水は本当に大切なものなんだ、一人ひとりが協力していくことが大切で、世界中の水は僕たちだけでなく、そして次の世代のためにも守られるべきなんだってことを伝えたいんだ。

@Yoshi Travel

Q:理想の世界とはどのようなものですか?

良い質問だね。

人々が一緒に協力して、持続可能な環境をつくり、みんなが等しく暮らしていける場所だよ。それは、水源の管理だとか、消費高とか、そういったものを全員で平等にってことだよ。それを目指すのはかなり大変で、きっと完璧ってのは無理だと思うんだ。けど、いままでの間違いから学んだり、人間が環境に与えている影響を改善していくのが大切なんだよ。

実際にいま僕らが抱えている問題に対して、若い世代でそれをどうにかしようって動きが起こっているんだ。だって、明るい未来を造りたいだろ。いまこそ、もっと持続可能な社会へと変化していく時だと思うんだよ。

アートで行う社会活動、アーティビズム

このようにアートをとおして、社会問題に声をあげる活動をアーティビズム(ArtとActivismを掛け合わせた造語)という。

環境問題や政治問題などは、一見堅苦しく聞こえ、自分には関係なさそうで、一個人ではなにもできないと思えてしまう問題だ。そんな問題を、どうにかしようと立ち上がり街中で声高らかと演説をおこなったところで、はたしてどれだけの人々がそれに耳を傾けるだろうか。

しかし、大きく複雑な問題も「伝え方」を変えることで、「伝わり方」は全く違う。環境問題に興味がない人でも、アートに興味があるのならば、その人にはアートをとおして伝えれば良いのではないか?

@Yoshi Travel

インタビューを終えて

先進国である日本に住んでいると、このような水問題を含む環境問題が身近では感じられないことが多いかもしれない。つまり、「自分ごと」のようには考えにくいということだ。

しかしながら、日本でも環境問題が起きていることは事実だ。その現実に人々の意識を向けさせるにはどうすれば良いのか。そんな問題を解決しようとするのが、PangeaSeed Foundationの行うアーティビズムのような動きだ。問題を目に見えるものにし、それを後世の者たちにも伝えていくことができる。

残念なことに、世の中すべての人々が、環境問題を常日頃から考えていたり、なにか行動を起こしたいと思っているわけではない。しかしながら、こうしたアートなど、別のきっかけをとおして環境問題に関してアクションを起こせるとしたら、どうだろうか?

ゴミ拾いや、リサイクルだけが私たちの地球のためにできることではない。「自分の好きな何か」で、環境問題の解決に役立てられるとしたら、地球はより良い方向に向かうのではないだろうか。

【参照サイト】PangeaSeed FoundationInstagram
(※画像提供:Yoshi TravelおよびSH11NA