じぶんの見方を変えれば世界は変わる。広告博物館の「ひとを幸せにする広告」

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広告は、企業の商品を売るためのツール。そう思っている人も多いだろう。それは間違いではない。しかし広告には、商品のPRツールとしてだけではなく、現代社会に多くの気づきを与えてくれる大事な役割もある。

そんな、意外に知られていない広告コミュニケーションの役割を展示している場所がある。それが、東京の新橋にあるアドミュージアムだ。そこでは今、特別企画展「ひと・人・ヒトを幸せにする広告 -GOOD Ideas for GOOD II-」(2018年4月14日〜7月14日)が開催されている。

ひとを幸せにする広告ってなんだろう?

今回の企画展のテーマは、「Humanity(人間性)」。

名前も顔もわからない「大勢の人」が、SNS上で誹謗中傷の書き込みをしたり、世界の至るところで内戦・紛争の犠牲者となっている。しかし、誹謗中傷する人だって、武器を持って戦っている人だって、結局は名のあるひとりの人間にすぎない。その一人ひとりが成熟して寛容さを身につけることでしか、豊かな社会の実現につながっていかないのではないか?そんな思いから、今回「ひと」に焦点をあてている。

そして今回の企画展のなかで特に大事にされていたキーワードは、unconscious bias(無意識の偏見)。知らない間に壁を作っていたり、勝手に決め付けて行動してはないだろうか?このunconscious bias(無意識の偏見)に気づいてもらうために、今回の作品は、SOGI(ソジ)、エイジング、ハンディキャップ、そして人間愛の4つのカテゴリーから選ばれている。

SOGI(Sexual Orientation and Gender Identity)とは、性的指向/性自認のことをいう。LGBTがレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーという「誰」を指すのに対して、SOGIは「自分自身をどういう性だと認識しているのか、どんな性別を好きになるのか」という「状態」を指すので、私たち全員が含まれる。

次は、誰もがとおる道であるエイジング(年を重ねること)。世界にはアンチエイジングという言葉があるように、年を重ねることが否定的に捉えられがちである。しかし、年を重ねることは、成熟したかっこいい大人になることなんだということを伝えている作品が選ばれている。

さらに、ハンディキャップ。福祉の観点から、社会の弱者として見られがちな「障害者」。しかし、「障害」という枠を超えた、人としての素晴らしさや愛らしさ、驚異的な身体能力で楽しませてくれたり考えさせられる作品が多数ある。

そして最後は、人や家族に対する愛。

下記で作品のいくつかを紹介しよう。さあ、頭を柔らかくして、作品を見てなにか1個でも気づきを感じてもらえたらうれしい。

作品紹介

  • #もっと女性を
  • 政治、軍隊、メディア、アートなどどの分野においても、女性の数が少ない事実をまとめた動画。イギリスのファッション雑誌Elle UKのキャンペーンだ。音楽、映像の演出は凝りすぎていないが、事実のインパクトが大きい分、伝えたいことが力強くすっと伝わってくる。

  • The Slave Calendar
  • Image via アドミュージアム

    Image via アドミュージアム

    南アフリカのイジコ博物館が企画した「奴隷カレンダー」。1ヶ月毎に、当時奴隷だった方の子孫が登場している。そして彼ら/彼女らの名字は、Julie(July)さんやOctoberさんといった月の名前だ。これは、当時奴隷として連れてこられた人は、個人としてのアイデンティティを奪われ、南アフリカに到着した月を名字として与えられたことに由来する。4世紀以上の前のことだが、こういった事実があったことを忘れてはいけない。

  • ボー・ギルバート:100歳のモデル
  • Image via VOGUE

    イギリスのVOGUE創刊100周年を記念した企画。典型的なモデルの年齢が16-25歳と言われるなか、100歳のボーさんがモデルをつとめた。ファッションを楽しみ、単純にかっこよく気品溢れる姿が印象的だ。

  • この性を生きる。

  • 東海テレビが作成した動画。トランスジェンダーの方のコメント「みんなが何気なく過ごしている日常ってすごく幸せだと思う。私もそれを手に入れるまでは死ねない。だってそういう日常欲しいもん」が、頭に残る。

  • 防犯カメラ

  • 防犯カメラに映った映像を寄せ集めて作った動画。通常、防犯カメラは犯罪抑止や犯罪者逮捕のために使用される。しかし視点を変えると、映されていないからこその自然で前向きになれるシーンが世の中に溢れていることに気づくだろう。

編集後記

いかがだっただろうか?この企画展では、作品のほかに、素敵なキャッチコピーもたくさん目にすることができる。

「知らず知らず傷つけてるなんて知りませんでした。」

「アタマはなんて言うかな。ココロはなんて言うかな。」

「こうこくはこうふくのそばにいなくちゃね。」

ぜひ作品を見て、これらの意味を自分なりに考えてみてはいかがだろうか?


【アドミュージアム東京】
開館日:火曜日~土曜日(休館日:日、月曜日) 
開館時間:11:00~18:00
場所:カレッタ汐留(JR新橋駅より徒歩5分)
※入場無料
URL: http://www.admt.jp/
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