いまや、私たちの生活になくてはならない存在となったスマートフォン。日々進化するその性能と、拡張機能としてのアプリの豊富さには目を見張るものがある一方、心配されているのがその「依存性」だ。
ベッドの中でも、通勤通学の電車の中でも、友人や恋人と一緒にいる間でさえも…人々がスマホの画面に熱中する姿は、いまや見慣れた光景になった。スマホを使うほど、依存性は増し、ナルシズムや神経質などになりやすいという研究結果も出ている。
この現状を問題視したのが、デンマークのコペンハーゲンビジネススクールに通う3人の学生だ。彼らが、ノルウェーの学生向けに開発したのが「Hold」というアプリ。スマホを使うのを我慢して勉強に集中した時間分だけ、ちょっとした「ごほうび」がもらえるという仕組みになっているという。
「鳴り止まないメッセージ通知のせいで、全然勉強に集中できないということ…自分自身の経験をとおして、身にしみてわかっていました。学生は1日平均200回もスマホを見るんですから。」
そう語るのは、アプリ開発者の1人、ヴィノス・ヴィナヤ氏だ。
「スマホを見ないで勉強だけに集中した場合、その効率は62%も良くなるということがわかっています」
使い方は簡単。Holdのアプリを立ち上げれば20分間、他のスマホ機能が使えなくなる仕組みになっている。20分以上勉強に集中したいという場合は、好きなだけ延長すればOK。時間が延びるにつれポイントが貯まり、コーヒーやお菓子、映画のチケットなどの「ごほうび」と交換できる仕組みだ。ポイントを貯め続ければなんと、20,000ノルウェークローネ(約272,000円相当)の奨学金が受け取れるというから驚きだ。
この画期的なアプリには、コカ・コーラやマイクロソフトなどの大手グローバル企業や、デンマーク最大のダンスケ銀行らが協力を発表した。ユーザーである学生からの反響も大きく、ローンチからたった3ヶ月で5万ダウンロードを達成した。ノルウェーのフルタイム学生の4分の1が、アプリの利用者という計算になるという。
現在はノルウェーのほか、イギリスとスウェーデンでも導入されているこのアプリ。日本でも導入されることを期待したい。
勉強や仕事の良き相棒として働いてくれているのか、それとも、その妨げになっているのか。あなたも一度、自分のスマホとの関係性を改めて振り返ってみてはどうだろうか。
【参照サイト】Hold
【参照サイト】Three Norwegians made an app to reward students for concentrating at school – improving grades by 30%
【参照サイト】Smartphones are addictive – reveals first UK study from the University of Derby