清潔な水の大切さを考える、スワロフスキーのドキュメンタリー映画「Waterschool」

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私たちが毎日何気なく使っている水。しかし実は、日本のように蛇口をひねればそのまま飲める水が出てくるような国はごくわずかしかない。

そもそも地球上には豊富に水があるように思うかもしれないが、その97.5%は海水で、淡水はわずか2.5%。さらにその約7割は北極や南極などの氷として凍っているため、私たちが使える水は実質0.01%ほどしかない。ペットボトル1本分が地球上に存在する水だとすると、わずか一滴分ほどだという。

そのわずか一滴分の水さえも、すべての人達が安心して利用できているわけではない。世界保健機関(WHO)によると、世界では21億人、つまり世界人口の約10人に3人が安全な水を自宅で使うことができない状態にあるという。その結果、毎年36万1,000人の5歳未満児が、下痢やコレラなどの感染症で命を落としている(※1)。

私たちの命を支えてくれる水。この水の大切さについて考え、行動する人を増やそうと、スワロフスキーが2000年にスタートしたのが「ウォータースクール(Waterschool)」プログラムだ

スワロフスキーは言わずと知れたクリスタル製のアクセサリーで知られるオーストリアのブランド。チロリアンアルプスの豊かな水による発電のおかげで事業を発展できたことが、「ウォータースクール」をはじめるきっかけとなったようだ。

同プログラムでは、「水と私」「水と家族」「水と学校」「水と生態」「水と地球」など全部で9つのテーマを通して、水の価値や暮らしとのつながりを学びながら自分たちに何ができるのかを考える。

今回紹介するドキュメンタリー映画「ウォータースクール」は、このプログラムに参加するティーンエイジャーの女子たちを主人公としている。世界の6つの主要河川、アマゾン、ミシシッピ、ドナウ、ナイル、ガンジス、長江の周辺に住む彼女たちだ。

同じ川といっても、環境や暮らしぶりはまるで違う。しかし、「水」を通して得た経験や気づきにはいくつか共通点が見出せる。

共通点の一つは環境の大切さ。地球の肺にもたとえられるアマゾンの森林を悠々とながれるアマゾン川。一見豊かに見えるアマゾン川だが、往年の森林破壊により、今や干上がったところさえある。川が氾濫すれば水没してしまう家に住む15歳のローズははっきりと言った。

「大人たちは、自然の恵みをお金もうけに使っていると思う。自然破壊は、自分の家族や子どもたち孫たちにも影響を与える。」

さらに、気候変動により一年で50メートルも後退したオーストリア、パステルツェ氷河のふもとに暮らす12歳のセリーナは、ふと毎日使っている歯磨き粉に入っているマイクロプラスチックの問題に気づく。

「環境を守ることは大切。地球の恩恵は私たちだけではなく未来の世代も受けるべきものだから」とセリーナ。

このような、至極当たり前な指摘は私たち大人に多いに気づきを与える。二つ目の共通点は女子教育の推進。ウォータースクールの効果は水の大切さを伝えることだけではない。

インドのガンジス川流域で暮らすプーナムは、学校でウォータースクールに参加したが若くして結婚、出産。学校教育を諦めざるを得なかった。しかし、ウォータースクール卒業生として、現在は再び子ども達に環境の大切さを伝える立場になっている。「結婚する前の自立した気持ちを思い出した」と語るプーナムはとても誇らしげだ。

ナイル川流域のウガンダ。ここでは、貧困や妊娠による女子の中途退学が多い。水を確保するため、1日に何マイルも歩かなくてはいけない子も多い。ナイル川の源泉を見に行った13歳のアイネムババジ・エスター。

日ごろは手洗いクラブに所属し、手を洗って清潔に保つことを推進している。そんな彼女が、飛沫をあげて流れるナイル川の源泉を見たときの目の輝き。村から出るのはおそらくとても稀なことで、家族の了承を得るのも一苦労な様子だった。

看護婦になって家族を支えていきたいと語るアイネムババジ。今回の経験は、きっと彼女のこれからの人生の力になるだろう。現地コーディネーターは「女性が水問題を学ぶことで、家族を変えることができるため特に意義がある」という。ウォータースクールの波及効果は大きい。

「すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する」。水問題の解決は持続可能な開発目標(SDGs)の目標6にも掲げられている。それだけでなく、貧困やジェンダー、教育問題の解決の糸口にもなるだろう。途方もない課題に思えるかもしれないが、映画に登場する女子たちを見て、私たち大人こそ率先して取り組んでいかなければと思いを新たにした。

Waterschool 予告編はこちら。本編はNetflixから視聴できる。

※1 ユニセフ・WHOによる最新データ。21億人が安全な飲み水を入手できず、安全なトイレは45億人が使用できず。SDGsの指標に基づく初の報告書発表

【参照サイト】Swarovski Waterschool
【関連ページ】持続可能な開発目標(SDGs)とは・意味