仕事を続けながら新興国のソーシャルベンチャーに携われるプロジェクト、始動

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大きな企業で働いている人の中には、「普段とは違った仕事に関わり、自分自身を成長させたいけれども、社内ではなかなかその機会が得られない。」「だからといって、今の安定した環境を捨てて転職するリスクをとるのも怖い。」そんな悶々とした気持ちを抱えながら働いている人も少なくないだろう。

そんな社会人のニーズを背景に、最近では「副業」や「パラレルワーク」といった働き方が徐々に広がりつつあり、会社を辞めることなくプロボノとしてNPOに関わったり、友人の会社を手伝ったりする人も増えている。また、有給をとって海外に短期留学をしてみたり、スタディツアーに参加したりという人もいるだろう。

しかし、これらの選択肢はいずれも視野を広げるという意味では魅力的ではあるものの、人生が変わるような刺激的な経験を積めるかというとなかなか難しいのが現実だ。国内にいる限り大きく環境が変わるわけではないし、海外のスタディツアーに参加しても現地に深く入り込むことは難しいからだ。

そんな現状を打破し、成長志向の強い社会人に新たな選択肢を提示するべく、とてもユニークなプログラムが立ち上がった。

NPO法人二枚目の名刺と、一般社団法人Gemstoneが共同で立ち上げたのは、仕事を辞めずに新興国のソーシャルベンチャーの実務に期間限定で携わることができる「新興国ソーシャルベンチャー共創プログラム」だ。

左:一般社団法人Gemstone代表の深町英樹氏。右:NPO法人二枚目の名刺代表の廣優樹氏

第一回目のプログラムの舞台となるのは、2.4億人の人口を抱えており、経済成長率も5%を超えるなど東南アジアの中でも特にその将来性が期待されている国、インドネシア。

インドネシアは豊富な若年労働力を強みに急速な経済発展を遂げている一方で、成長の歪が貧困格差や自然破壊などあらゆる面で表面化しており、数多くの社会課題に直面している。

同プログラムでは、インドネシアの現地でこれらの社会課題の解決に取り組んでいるソーシャルベンチャーに実際に訪問し、3ヶ月にわたってフィールドワークとディスカッションを重ねながら彼らの経営課題の解決に携わるという内容となっている。

プログラムの開始にあたり、9月29日に東京・原宿で参加希望者に対するプレイベントが開催された。当日は、実際にプログラムの提携先となるインドネシアのソーシャルベンチャー2社の代表がオンラインで参加し、参加者らに対して事業のプレゼンテーションを行った。ここではその2社を簡単にご紹介したい。

「新興国ソーシャルベンチャー共創プログラム」プレイベントの様子

廃棄物ゼロを目指すソーシャルベンチャー「Waste 4 Change」

Waste 4 Changeは、急速な経済発展に伴いごみの問題が深刻化しているインドネシアにおいて、廃棄物ゼロを目指して幅広い事業を展開しているソーシャルベンチャーだ。

インドネシアでは廃棄物のうち60%が有機物で、19.7%がリサイクル可能となっており、合わせると実に80%近いごみが埋立地へ捨てることなく堆肥やリサイクル素材として活用できるにも関わらず、現状は行政サービスも含めた廃棄物マネジメントの効率的な仕組みが整っていないため、結果として多くのゴミがリサイクルされることないまま海洋などへ廃棄されているという。

Waste 4 Changeでは、ごみを減らすための予防策としての教育やキャンペーン事業から、実際に出てしまったごみの回収、堆肥化にいたるまで、廃棄物ゼロに向けた一連の事業をワンストップで手がけており、社会課題の解決とビジネスを両立させている。

オンラインでプレゼンを行なうWaste 4 Change創業者のSano氏

創業者のSano氏は、今後はAirbnbやUberのようなシェアリングエコノミーのモデルを適用し、よりサステナブルな廃棄物回収・資源循環のプラットフォームを構築したいと想いを語っていた。

社会起業家を支援するソーシャルベンチャー「Instellar」

「Accelerating Social Innovation」をミッションに掲げるInstellarは、インドネシアにおいて2014年からシード期の社会起業家の育成やインパクト投資の支援に取り組んでいるソーシャルベンチャーだ。現在70社以上を超える社会的企業のインキュベーションを手がけており、寄付や融資などを通じて32万米ドル以上の資金提供を行っている。

創業者のRomy氏は来日経験も豊富な親日家で、社会起業家の育成手法や実践をインドネシア全土へ広げるトップランナーとして活躍している。Romy氏は、日本も含む世界のスタートアップ支援プログラムの取り組みなども参考にしながら、自社の支援プログラムをよりブラッシュアップしていきたいと語っていた。

「参加する」プログラムではなく、「共創する」プログラム

実際にプレイベントに参加し、起業家らのプレゼンテーションを聞いて感じたことは、今回のプログラムは「参加する」ものではなく、自ら主体的に「創り上げていく」ものだということだ。

このプログラムは、現地の起業家らが「何を期待しているか」をヒアリングし、机上のディスカッションを重ねてプレゼンにまとめて終わりといった受け身のプログラムではない。

実際に現地に足を運んで課題を自分の目で確かめ、そのうえで自分として何ができるのかを考え、提案し、現地の起業家らとともにプロジェクトを創り上げていく。与えられるのは機会だけで、それをどう活かすかは参加者次第。よい意味でプログラムの余白が大きいところが非常に魅力的だ。

プログラムの舞台となるインドネシア・ジャカルタ(Image via Shutterstock)

第一段となるプログラムの参加者は10月下旬にインドネシアを訪問し、計2回の現地訪問を含めたプロジェクトのメンバーとして来年1月までの3ヶ月間、新興国のスピードを肌で感じながら走り抜けることになる。

日本の常識が通じない異国の環境に飛び込むことで得られる経験は、その後の自分のキャリアを考えるうえでもとてもよい機会となる。また、自分とは違う会社で働く仲間とともに一つのプロジェクトに取り組むことで得られるものも多い。

「新興国ソーシャルベンチャー共創プログラム」では10月20日に開催されるキックオフミーティングの前日、10月19日まで参加者を募集しているとのこと。仕事を続けながら海外ソーシャルベンチャーの現場に触れてみたいという方は、ぜひ一歩を踏み出してみてはいかがだろうか?

10月19日まで。プログラム参加者募集中!

【参照サイト】新興国ソーシャルベンチャー共創プログラム
【参照サイト】NPO法人二枚目の名刺
【参照サイト】一般社団法人Gemstone