アジアを切り拓け!本業を辞めずにインドネシアのソーシャルベンチャーで自分を変える3か月

Browse By

3か月間、インドネシアの社会的企業の経営課題に挑む「新興国ソーシャルベンチャー共創プログラム」が今年の6月から始まる。参加を呼び掛けるターゲットは、学生やギャップイヤー中の社会人だけではない。「本業を持つ人誰でも」だ。基本的には日本でミーティングを行うが、実際に短期間、現地に足を運ぶこともできる。

IDEAS FOR GOODでは、これまで多くのソーシャルグッドな取り組みを取り上げてきたが、その現場を自分の目で見て、肌で感じて体験したいという読者もいるのではないだろうか。しかし勉強や仕事も犠牲にできない。そんな人にぴったりのプログラムになっている。

今回はプログラムの発起人である深町英樹さん(以下、深町)と、第1回プログラムの参加者でIDEAS FOR GOOD編集長の加藤佑(以下、加藤)にプログラムの背景と魅力について伺った。

話者プロフィール:深町 英樹(ふかまち ひでき)

国際基督教大学卒業、JETROアジア経済研究所開発スクール修了、オクスフォード大学MBA。幼少期のパキスタンでの生活を原点に持ち、大学時代にカンボジアでのNGOインターン等を経験。ヤンマー株式会社を経て、2014年より新興国の社会課題を解決する事業の開発・実行支援に従事。2015年に共同創業した(株)オリナス・パートナーズを経て、2017年に一般社団法人GEMSTONEを設立。

話者プロフィール:加藤 佑(かとう ゆう)

IDEAS FOR GOOD 創刊者&編集長。2015年12月にハーチ株式会社を創業し、2017年に社会を「もっと」よくするメディア「IDEAS FOR GOOD」を立ち上げる。英国CMI認定 サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2018年11月、本プログラム第1回目に参加し、インドネシアのソーシャルインキュベーター、Instellarの経営課題解決に取り組んだ。

新興国と持続可能でかつ平等な関係を作りたい

Q.このプログラムが始まった経緯を教えてください。

深町:私は親の仕事によりパキスタンで育ち、幼少期は現地の人を家族のように思って過ごしていました。大学時代は国際開発を専攻していましたが持続可能でかつ対等な関係性を築きたいと考え、ビジネスを通じて日本とその国の双方の成長を担いたいと思うようになりました。

メーカーで事業づくりや生産管理のマネージャーを経験したあと、国際開発と経営学を学ぶために大学院に進みました。前職では素晴らしい仕事と仲間に恵まれましたが、自分のミッションと会社のミッションの違いは感じながら仕事をしていました。その後今の会社を立ち上げ、現地で想いを持っているソーシャルベンチャー経営者の熱量と目の前の社会課題を解決しようという使命感に対して日本人を繋げるというプログラムを始めました。

Q.このプログラムにかける想いとは?

深町:このプログラムでは、ただのコンサルタントワークではなく、お互いが自分を100%出し合って共創していくというコンセプトがあります。実際に第1回目の参加者を見ていて、会社の中で自分の存在意義が発揮できていない、新興国に興味を持っているけれどキャリアの切り拓き方が分からないひとによく合っていたと思います。

新興国ソーシャルベンチャー共創プログラム第1回の参加者

今キャリアチェンジの節目にいるとか、これから挑戦していきたい、腕試しをしてみたいという人の第一歩になればいいなと思っています。

本業を辞めずに関われる、ちょうどいいコミット感

Q.加藤さんはどうして参加しようと思ったのでしょうか?

加藤:SNSで流れてきたのを見て、何だか面白そうだったのでイベントだけ行ってみようかなと思ったんです。最初はプログラムに参加するつもりはなくて。そのイベントで会ったひできさん(深町)の話を聞いたときに、これまでのストーリーに共感することが多く、とてもよい方だと感じて、プログラムに参加しようと思いました。

実際に参加してみて、私自身仕事上、取材で話を聞きに行って取材対象者の状況を理解することはあるのですが、どっぷりと中に入ってじっくり考えるような体験ができたことは面白かったです。最近ではプロボノやインターンなど選択肢はありますが、他の参加者も本業がある中で無理なく関わっているので、ちょうどよいコミット感だったと思いますね。

インドネシアにももともと興味があったのですが、今回の渡航では1人で行くよりもディープな体験ができたなと思います。

深町:渡航は金銭的にも負担なのでプログラムに入れるかは社内でも論点だったのですが、これが一番おいしい部分になるに違いないと思っていました。

深町英樹さん、加藤佑さん(左から)

加藤:本当にそうですね。現地渡航がないと参加しなかったと思います。(笑)

プログラムの醍醐味は、メンバーから受ける刺激と五感で感じることができる現場

Q.渡航について詳しく聞かせてください!

深町:今回は7月と8月の中で3日ずつインドネシアに行くことになります。7月の渡航は現地調査、現地ソーシャルベンチャーとの関係構築、8月の渡航はプログラム中に日本で進めた業務のアウトプット及び現地でのディスカッションとなり、それぞれ現地集合、現地解散になります。強制ではなく、任意参加ですが強く推奨します。詳細な日程は参加者が決まり次第皆さんが行ける日程で決めてもらえるように調整をします。

Q.参加してよかったことはありますか。

加藤:まずは他の参加者に出会えたこと。それぞれ違うバックグラウンドがあるので専門性を活かしつつ、どのようにチームとしてうまく目標に向かって進んでいくかを考えられたのはとても勉強になりました。その中で自分の強みや得意不得意や好き嫌いが分かったと思います。

2つ目は五感で現地を感じられたこと。「海外のゴミ山」と言われて思い浮かぶイメージってどこかのメディアで見たような情報だったりしますが、実際に現地に行ってみると、リアルな映像と匂いと共に思い浮かぶので、そうした原体験は、今後の自分の考え方や意思決定にも影響するなと思いました。なかなかない機会だと思いますね。

第1回の対象ソーシャルベンチャーのスタッフたち

深町:もし本業の方の会社で海外事業部があって部長の下で社員として働いている人だとしても、部長の言う通りに業務を遂行していくのとは全然違う経験ができると思います。自分で何ができるかを考えて、動かないと話にならないから。

加藤:経営側の立場としても、社員にはぜひ行ってほしいと思いますね。本当に成長できるし、会社の中にいるだけではできない経験もあるので。デメリットとしては、成長して帰ってきても、本業に熱い気持ちを持てず辞めちゃって、戻ってこないかもしれないというのはあるけど。(笑)

深町:実際、前回の参加者の8人のうち3人が会社を辞めて、新たな道に進んでいるんですよね。(笑)「仕事してる場合じゃない」というコメントがあるくらい、みんなイキイキと参加していましたね。運営サイドとしてはプログラムの最後の方は収束作業にかかろうとしていたのですがメンバーは一向に収束しようとしていなくて。クラウドファンディングのプロジェクトは自主的に一ヶ月延長して実施していましたし、、、。

加藤:すぐ転職するわけではないのでリスクもないですよね。ここでの経験をしてみて、帰ってから自社に対して違和感を覚えたら辞めればいいし。

時間管理と体調管理が鍛えられた3ヶ月

Q.どのくらいの頻度でミーティングがありましたか?本業との両立はどうでしたか?

加藤:僕たちの時はミーティングは2週間に1回程度の対面+オンラインでした。仕事がちょうど忙しいタイミングだったので、やると言ったタスクができなかったり迷惑をかけてしまうこともありました。メンバー同士で役割分担をしたり、タスクをやる時間をしっかり決めたり、準備ができない場合はミーティングの進行はがんばろうとか、その人に合った価値の出し方があったりします。「時間を作る」という姿勢を身につけることも成長に繋がると思います。

プログラムの最初の段階ではソーシャルベンチャーの課題に対して理解が追いつかず、よいアウトプットが湧かなかったので、ミーティングと言いながらもメンバーと楽しくご飯を食べて帰るだけみたいなこともありました。ただ、絶対にアウトプットとして仕事っぽいことをしなくちゃ、という感じだと潰れてしまうので、その雰囲気は救いでしたね。

チームメンバーとの交流も刺激になる

チームメンバーとの交流も刺激になる

それと、体調管理は気をつけた方がいいですね。1回目の渡航で体調を崩してしまって。食中毒だったと思うんですが、あれは人生で一番やばかったかもしれません。渡航中は渋滞で予定時間に目的地に着かなかったり、ずっと英語でインタビューした後に夜中までミーティングをしたり、冷房もガンガンかかっていて免疫が落ちていたんでしょうね。2回目の渡航では歯磨きの水や飲み物に入っている氷にも気を付けました。。

深町:楽しくて夢中になって頭と身体を動かしているうちにいつの間にか倒れていた、みたいな。(笑)英語のスキルについては必須ではなくて、メンバーの中で一人か二人英語で仕事ができる人がいればチームとして仕事は進みます。

好奇心が価値に変わる場

Q.なんだか充実していますね!ソーシャルベンチャー側のフィードバックとしてはどんなものがありましたか?

深町:オンラインや渡航中の打ち合わせでインプットした時間に対して、プログラム参加者側のアウトプットが非常に高く、時間投資対効果がとてもよかったと言ってくれています。打ち合わせの中でも前のめりに聞いてくれて、成果物としても細かく作りこまれていて、自分のビジネスを改めて自己定義するのに助かったと言っています。

加藤:受け入れる側のソーシャルベンチャーとしては、日本からやって来たメンバーと議論をしているだけでも、改めて自分たちの活動を振り返ることができ、社内にコミュニケーションも生まれるなどメリットがあると思います。なので、参加者サイドとしてはあまりアウトプットにこだわり過ぎる必要はないのかなと思います。

Q.最後に迷っている人に一言!

深町:プロジェクトの0.5歩目を経験してもらうための体験型ワークショップを5/19に開催するので、まずはそこから判断してほしいですね。一人一人の挑戦してみたい、という想いやおもしろそう、という好奇心が価値に変わる場は必ずあるので、自分を見つける場としても活用してほしいです。そのために私自身も全力を尽くすので。

加藤:このプログラムに行ってみたいなと少しでも思うのなら適性があるのだと思います。何を得られるかは自分次第なので、与えてくれると思って参加すると辛いかもしれませんが、熱量は周りの人や環境から感じられるから引きずり込まれると思います。

締め切りは5月31日!プログラムの参加者、募集中。

自分に何ができるか分からないけれど、新しいことに挑戦してみたい、新興国に興味がある、という人にとっては、大きく環境を変えず、気軽に踏み出せるステップになりそうだ。まずは関連イベントや体験ワークショップに参加してみてはいかがだろうか。

  • 5/28(水)19:00~22:00 @GEMSTONE三田オフィス
    「新興国ソーシャルベンチャー共創プログラム第2弾 追加説明会&個別相談会」
    Googleフォーム
<プログラム概要>
  • 実施期間:2019年6月15日(土)~2019年9月14日(土)
  • 参加費:20万円(税別)
    ※インドネシアへの渡航は、2回を予定。(任意参加ですが、強く推奨します。)
    ※現地渡航は各自ご手配・負担。(宿泊先は推薦します。)
  • 定員:10~12名(各団体3-5名程度)※最小催行人数:8名
  • 申込期間:2019年4月18日(木)~5月31日(金)
  • プログラム参加申込フォーム

【参照サイト】新興国ソーシャルベンチャー共創プログラム
【参照サイト】NPO法人二枚目の名刺
【参照サイト】一般社団法人Gemstone

FacebookTwitter