元ヤン・元ニートのためのラップ講座。MCバトル覇者が授ける「言葉のパワー」

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“小さい頃からいじめられっ子だった。学校に居場所がなかった。何をやっても認められることはないんだと、自分に自信がもてなかった。でも、ここに来て変わろうと思った。”

不良、ニート、引きこもり。学校が嫌い、会社に居づらいなど、日々の社会生活を息苦しく感じている人は多い。そんな若者たちを支援するのが、株式会社ハッシャダイだ。同社は17日、若者の自己表現力をラップで高める講座「ヤンキーラッパーコース」を東京・原宿で開催した。

講師は、数多くのMCバトルやフリースタイルダンジョンで名を残すラッパー、晋平太(しんぺいた)氏だ。第2回目をむかえた講座のテーマは、それぞれの参加者が「自分の出身や育ち、悩み、夢、目的」をラップで表現すること。

講師プロフィール:晋平太(しんぺいた)


ヒップホップMC。音源制作の傍らMCバトルの大会に数多く出場し、2011年のULTIMATE MC BATTLEの全国大会では史上初の2連覇を成し遂げた。「フリースタイルダンジョン」では全ステージクリアを達成。現在は企業、学生向けにラップ講座も行っている。

ハッシャダイの「ヤンキーラッパーコース」って?

ハッシャダイは、若者の独り立ちを応援する企業だ。

中卒・高卒といった学歴や地方格差によって可能性に気付けない「よそもの、ばかもの、わかもの」に、東京での職・食・住を無償で提供する「ヤンキーインターン」を実施することで、「選択格差」のない社会の実現を目指する(公式ウェブサイトより)

今回の「ヤンキーラッパーコース」には、18歳から24歳のインターン生26名が参加した。彼らの6割は元ヤンキー、元ニート、元引きこもりだ。講座の目的は、そんな彼らの語彙力、表現力、そして自己肯定感をラップというツールを通して高めること。

講座が始まってすぐ、晋平太氏は今回のテーマを「Hopeful」だと語る。自分の生い立ちや、負の経験も音にのせて表現するのだ。普段だったら恥ずかしくて、隠したくなる部分に自己の本質があらわれるのだという。

ラップが若者の自己肯定感を高めるワケ

ハッシャダイのヤンキーラッパー

講座に参加したインターン生たちは、各々が用意してきた24小節のラップを5人前後のグループで披露し、同じグループのメンバーからフィードバックを受ける。

晋平太氏とインターン生たち

「この歌詞はめちゃくちゃカッコイイ」「後半は声を大きくするといいと思う」といった率直な意見で互いにブラッシュアップしあい、各グループで推薦された「代表メンバー」の5人が全員の前で自作ラップを発表することになった。

“高校時代俺は帰宅部 きついことからただ逃げたくて クラスでも根暗な陰キャ…… ”

“もう終わりだ 消え失せよう 静かにのぼったビルの屋上 そこで見た景色 俺に告げてきた「お前はこの世界のこと何も知らない」…… ”

これまでの悩みや希望がなかった頃の人生を共有し、最後は自分なりの言い方で大きな決意を表明する5人。参加者からは拍手がわきおこり、歓声があがった。

ラップが自己肯定感を高めるのはなぜか?晋平太氏は、ラップは“自分が最高”だと肯定しないと始まらないという。「ラップってすべての要素が入っているんです。まずは自分を見つめないと歌詞が書けない、書いた歌詞を音にのせて発表するのには勇気がいる。あとユーモアも。自分が好きだって表明するのは日本の風潮ではあまりないかもしれないけど…… 一人でも多く、自分のことを好きなヤツを増やしたい。」

自分の辛かった経験、挫折した経験などをラップで周りに打ち明け、それを「カッコイイ」と肯定される経験。これが自信につながるのだ。

晋平太氏

実際、歌手のエミネムが自身の楽曲の中で母親への感情をさらけだしたことがあるように、過去の負の経験を曲で語るラッパーは多い。だがそれは、不思議とカッコ悪くないのだ。むしろ前に立って積極的に自己開示するほどリスペクトされる、と晋平太氏は言う。

今回のヤンキーラッパーコースの参加者たちからは、ここから自分はスタートするんだという強い意気込みが感じられた。

【参照サイト】株式会社ハッシャダイ
(写真提供:株式会社ハッシャダイ)