魚は、私たち日本人が昔から食してきた海の恵みだ。店頭には毎日、新鮮なたくさんの魚が並ぶ。しかし、世界で操業している漁船が、捕獲した魚のうち40%を捨てているというという事実をご存じだろうか。
必要数以上に魚を捕獲してしまう問題を改善するべく、スタンフォード大学研究チームが、漁業をもっと効率的で持続可能にするソフトウェアを開発した。
「EcoCast」と名付けられたこのソフトウェアは、海洋状況についての衛星データや地図、そして漁師の観察記録を組み合わせて、最も豊かな漁場を1日ごとに表示する。捕獲目的以外の魚や、ウミガメなどの保全すべき海洋生物の捕獲を減らすことが目的だ。
いま、漁業管理者は漁師が避けなければならないエリアを指定することで、種を保全している。しかし、これらの保護区域は海洋生物の動性が反映されていないため、保全すべき魚が保護区域から出て漁業網にかかってしまうことが少なくない。
そこで研究チームが開発したのがEcoCastだったのだ。その効果は抜群で、EcoCastは、これまでの種の管理システムに比べて、10倍も効率良く種を保全できるという。
当研究に協力した、南カリフォルニアの漁師ゲーリー・バーク氏は、「漁師は、これを試したいと思うよ。僕らはいつも違う方法や、もっと効果的な方法を探し求めているからね。このソフトウェアが示すのは予測だから完璧ではないけれど、これまで僕たちが持っていなかった情報を与えてくれる。」と語る。
そして、EcoCastは漁師だけでなく、科学者や資源管理者、および研究者にも情報を提供する。 「このツールは、種の保全と経済収益性の評価方法を開拓し、米国の漁業をより持続可能にしてくれるだろう。」と、当研究の筆頭執筆者であるエリオット・ヘイゼン氏は述べている。
人と情報を結ぶことで、漁業をより持続可能にするソフトウェアEcoCast。海洋生物の命を大切にしながら、私たち人間の「食べる」という営みを守っていく、大きな標になりそうだ。
【参照サイト】Stanford scientists develop tool to improve fishing efficiency and sustainability
(※画像:Stanford Universityより引用)