10分で廃水から90%以上の油を除去するスポンジが登場。英・カナダの大学が共同研究

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世界で掘削される油。しかし、水圧破砕(地下の岩体に超高圧の水を注入して、亀裂をいれる手法)などの抽出方法では、油で汚染された廃水が大量に発生する。流出した油の洗浄も行われているが、現在の方法は廃水に浮く大きな油膜を取り除くことが主で、細かな油滴への対策は十分でない。

そこで今回、トロント大学とインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームが、廃水から10分で90%以上の小さな油滴を除去する新たなスポンジを共同開発した。

油を吸うスポンジ

(c)Univetsity of Tronto

2年前、トロント大学の当研究チームはすでに油の95%以上を除去できる技術のプロトタイプを報告している。しかし、このシステムには2つの大きな欠点があった。 ひとつは除去するのに時間がかかること。水から油滴を除去するのに3時間を要し、産業規模での適用は難しかった。そして、もうひとつは水のpH。システムの最適なpHは5.6であったが、実際の廃水の4〜10pHでは、除去できる率が低下してしまったのだ。

この2点を踏まえて、今回研究者らはソファクッションなどに使用されているポリウレタンフォーム(発泡体になっているポリウレタン)を使用。さらに気孔率(固体部分と隙間の比)などの特性を制御したスポンジを設計した。以前のシステムに加えて、ナノ結晶シリコンと呼ばれる材料の小さな粒子を表面につけることで、廃水からの油の摘出をコントロールすることに成功した。

最新のスポンジは、以前のシステムよりもはるかに広いpH範囲で機能し、最適なpH 5.6ではわずか10分で92%以上の油を除去する。さらに、油は一般的な溶媒を使用して簡単に抽出でき、使用も可能。スポンジも再使用できるということで、エコな循環システムが確立できる。研究チームはテストを10回行ったが、パフォーマンスの低下は見られなかったという。

油を吸うスポンジ

(c)Univetsity of Tronto

そして、この研究により2つの新しいコラボレーションが生まれた。ひとつは、トロント大学のパーク教授とカナダ天然資源省が、海洋に流出した油を浄化するために、システムをスケールアップして塩水に適応させる検討を始めたこと。

もうひとつは、同大学のビルトン准教授とカナダ水産海洋省が、油の粘度の変化により除去がさらに困難になる低温環境での海洋油流出に焦点を当てた研究を開始したことだ。「このシステムは産業廃水用に設計されているが、淡水または海洋条件に適応させることで、今後は油流出による環境汚染も減らすことができる。」と、ビルトン准教授は語る。

10分で廃水から90%以上の油滴を除去するハイテクスポンジ。今後の展開が期待される。

【参照サイト】U of T researchers develop sponge that removes oil from water
(※画像:トロント大学より引用)