オランダのインテリアブランドが提案する、デジタルな「偽物撃退法」

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デジタル化が進み、オンラインショッピングがますます身近になってきた昨今、増加しているのが「偽物製品」の流通だ。米国のIP(Intellectual Property:知的所有財産)コミッションの報告によると、2015年に米国に輸入された偽物製品は総額で580~1,180億米ドル、そして米国製ブランド製品の偽物が世界中で販売された額は850億米ドルにのぼるという。

偽のブランドロゴを携え、品質は落ちるが安価で買える偽物が流通することによる経済的損失は、全世界で1兆2,000億米ドル(約133兆円)とも言われるそうだ。

このような偽物に、こちらもデジタルを利用して対抗しようと、オランダのインテリアブランドMoooi(モーイ)は、すべての自社製品への「NFCタグ」の取り付けを開始した。NFC(Near field communication)とは、近距離無線通信規格の1つであり、Suicaやおサイフケータイなどの非接触型決済に使われている技術と類似のものだ。

Image via Moooi

Moooi製品の購入者は、スマートフォンにアプリをダウンロードし、製品に取り付けられたタグをスキャンする。すると、読み取った情報がサーバーに送られ、その製品が本物であると確認されれば、スマートフォンの画面上にそれが表示される仕組みだ。「The Button」と名付けられたこの小さな丸いタグは、花を模ったデザインで、Moooi製品のデザインとよく調和している。

「本物のデザインを新しく設計し、製造して、売り出す過程には時間がかかります。その間に安い偽物を製造し、市場に溢れさせるのは簡単なことです。」Moooiはこう述べる。「このような偽物に対抗するためには、偽物そのものを取り締まるよりも、製品自体のデザインを強調することに焦点を移すほうがより賢明だと気付いたのです。巧みな技術でMoooiのデザインを守り、製品を購入してくださった方に、デジタルによる証明を提供します。」

Moooiによると、他のブランドは偽物対策として、製品にDNAスプレーを塗布するという方法を取っているという。税関での検査で、その製品の出所を示し、本物であることを証明するためだ。しかしその方法では、製品を調べることができるのは税関の担当者だけである。Moooiは購入者自身が自分の購入した製品を調べることができるよう、デジタルなNFCタグを利用した方法を開発したという。

「The Button」は偽物を撃退し、本物のデザインに投資するための「デジタルセーフキーパー」だとMoooiは言う。このアイデアは、今後さまざまな業界において、偽物ビジネスを駆逐し、本物のデザインが発展するのにも一役買うかもしれない。

【参照サイト】Moooi adds NFC tags to its designer furniture to guarantee authenticity
【参照サイト】デジタル化で加速する「偽ブランド」の脅威、損失は130兆円超に

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