勉強よりも「幸福」を教える学校、2020年にインドで開校予定

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数多くのITエンジニアを輩出しているIT大国インド。Googleのスンダー・ピチャイ氏、Microsoftのサティア・ナデラ氏、Adobeのシャンタヌ・ナラヤン氏など、世界を代表するIT企業のCEOの多くがインド出身である。

筆者がいるアメリカでも、多くのIT専攻のインド人学生を見かける。英語も堪能で、インド出身の学生のレベルの高さに驚きを隠せない。ITエンジニアという職業は、社会に根付くカースト制の影響を受けず、努力次第でなることができるため多くの学生が熱心に勉強に励んでいるのだ。

その一方で、弊害もあるようだ。インドの学校教育はかなり厳しいことで知られており、国内の一流大学に合格するには、テストで98%点以上をキープしなければならないのだそう。そういった状況下で、生徒たちは多大なるストレスにさらされる。2016年に世界中で大人気となったインド映画『きっと、うまくいく』は、監督の実体験をもとに、インドの学校教育がもたらすストレスをテーマとして製作された。

そんな中、映画のテーマになってしまうほどの過度なストレス問題に一石を投じるようかのような、「幸福」について教える学校が新たに開校予定だ。

Riverbend school

Image via Kurani

インド東部のチェンナイに2020年開校予定のこの学校の名前は、リバーベンドスクール(Riverbend School)。 “偉大な功績と素晴らしい人生は、従来の教育ではあまり教えられていない「感情的知性」と「個人的幸福」が基礎になっている” との考え方から、アカデミックな学習よりも生徒の自主性や幸福度を高めることを第一に優先している。

学校の共同設立者であるヴィヴェック・レディ氏は、「人の気持ちに共感し、世界に積極的に還元していくようなハッピーな生徒たちを育んでいきたい。」と語る。

リバーベンドスクールの生徒たちは、自分が何を学びたいのかを決め、実践を通して学ぶ。 たとえば生徒の1日は瞑想で始まり、午前中はクラスメイトが作るロケットランチャーのソフトウェアをコーディングしたり、インドの古典文学セミナーで詩を朗読したり。友達と昼食を作って、午後には新たなビジネスの立ち上げに取りかかることもある。

学校を設計したスタジオクラーニは、人類学の研究から「真の幸福」とは他者との「強い関係性」から生まれること、そして関係性は「村」で一番強くなることから、村をイメージしてキャンパスを設計していったそうだ。

Riverbend school

Image via Kurani

キャンパスには、学習するための施設はもちろん、レクリエーション空間とそれに続く住宅や、学生が農業をするための耕作地がある。

平日に学生が滞在する学生寮には、各フロアに同様の人の集まれるスペースがあり、生徒たちの社交性を育むデザインとなっている。学校はチェンナイ郊外の自然に囲まれ、目の前には海が広がるという、のびのびと学ぶためには最高のロケーションだ。

さらに教育の場として、コラボレーション用のチャットラボ、物理プロトタイプやデジタル製作のラボ、ギャラリーやプレゼンテーション・レコーディング・音楽・芸術・ダンススタジオとして利用できる部屋、さらに驚くべきは、学生がビジネスを営む小売店などがある。

教員は学生のためのコーチとして行動し、彼らが自ら考えることをサポートする立場となる。特定の科目を教えるのではなく、学生の興味のあるスキルを教えることに焦点をあてるそうだ。

Riverbend school

Image via Kurani

「いま学校教育で教えられる知識が、5年後にも役立つ知識かどうかはわからない。」とレディ氏は言う。 「むしろ、学校で教えられる知識が多くの子供にとって適切なのか疑問だ。私たちはなぜそのようなことを教えなければならないのか?リバーベンドスクールのアプローチは、そんな問題提起をしている。」もちろん、このアプローチが従来の教育カリキュラムと乖離(かいり)していることは創立チームも意識しており、解決に取り組んでいるという。

インドでは他にも、2018夏から1,000以上の学校で「幸福に関する授業」がスタートしている。

筆者も中高時代、苦手であった数学の授業に嫌気が指し、将来使わないのになぜ勉強しなければならないのか、と考える日々を送っていた。さまざまな教科に触れるだけでなく、自分の興味のある分野を極めることのできるこの学校は生徒にとって「幸福」以外の何物でもないだろう。

【参照サイト】Riverbend School
【参照サイト】なぜインド人は世界中のIT業界で活躍しているのか?
【参照サイト】インドの1000以上の学校で「幸福に関する授業」がスタート

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