ヨーロッパの消費者は、買い物で何をチェックするのか。各国の「エコ・ラベル」事情【欧州通信#12】

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今までヨーロッパは行政およびビジネスの分野で「サステナビリティ」「サーキュラーエコノミー」の実践を目指し、さまざまなユニークな取り組みを生み出してきた。「ハーチ欧州」はそんな欧州の最先端の情報を居住者の視点から発信し、日本で暮らす皆さんとともにこれからのサステナビリティの可能性について模索することを目的として活動する。

ハーチ欧州メンバーによる「欧州通信」では、メンバーが欧州の食やファッション、まちづくりなどのさまざまなテーマについてサステナビリティの視点からお届け。現地で話題になっているトピックや、住んでいるからこそわかる現地のリアルを発信していく。

前回は、「最新のサステナブルスポット」をテーマに、ヨーロッパ4カ国で話題の施設や地域を紹介した。今回のテーマは買い物の際に参考になる「エコ・ラベル」。日本でも多くの種類がある認定ラベルだが、ヨーロッパの商品には果たしてどのようなラベルが付いているのだろう。各国在住のメンバーが生活者の視点で紹介していく。

【イギリス】CO2削減に積極的な企業がわかる「カーボン・トラスト」ほか、商品のカーボンフットプリントがわかるラベル

英国でなにか商品を手に取ると見かけることがある足のマーク。これはCarbon Trust(カーボン・トラスト)という企業が与える認証で、その企業が事業によるCO2排出量をきちんと計測しており、それを減らすために努力しているということを示すラベルである。

カーボン・トラストは商品が原材料から生産される段階から、リサイクルされる段階までのCO2排出量を計測している。

カーボン・トラストの認証|Photo by Megumi

また、オーツミルクを専門に販売する「Oatly」は各商品の製造時に排出されたカーボンフットプリントをパッケージに明示している。このようにメーカーが独自にカーボンフットプリントを計測しているケースもある。

Oatlyのカーボンフットプリント表示(左)とチョコレートブランド・KalloのB Corpラベル(右)|Photo by Megumi

こうしたCO2排出量表示に加え、「B Corp認証」のラベルもよく見かける。これは企業の活動自体を環境的側面からだけではなく、社会的側面から評価するものだ。「ラベルが貼ってあるからいい商品」と判断されるほど簡単な時代ではなくなったが、一つ一つの認証はたしかに消費者の判断材料となっている。

【フランス】食やファッション業界全体が変わるために。仕組みづくりを担う「エコ・ラベル」

フランスでは現在、食品分野でエコスコアの導入が進んでいる。商品の一般的に製品が販売されるまでの温室効果ガス排出量を一目で確認できるように、ABCDEのランクで表したものだ。

環境移行庁(ADEME)のデータベースを使いながら、バーコードをスキャンするだけで栄養価や添加物の情報を表示するアプリ「Yuka」や、食品のオンライン・クラウドソーシング・データベース「Open Food Fact」などが共同で開発した。まだ商品パッケージへの記載は進んでいないが、サイトやアプリを通して見ることができる。

また、フランスでは今後2023年末までに、衣類への環境ラベルの適用も予定されている。食やファッションなど人々の生活に根付いたところで情報を透明化を進め、消費者の意識を変えていく意図もあるのだろう。そうなるとメーカーにとってもサステナビリティ変革が鍵になるため、エコラベルは国全体の意識を大きく変えていくきっかけとなりそうだ。

【オランダ・ドイツ】CO2排出量ラベル表示はほとんどないものの、生活者の意識が高い国も

一方で、カーボンフットプリントを明示したような商品をあまり見かけない国もある。例えば、ドイツ・オランダなどだ。しかし、それらの国で暮らす人々の意識が低いかというと決してそうではない。

オランダでは、CO2排出量表示のラベルはほとんど見受けられない。法人に対しては多くの情報開示が課されるなか、消費者に向けた製品単位のCO2排出量開示は進んでいないからだ。しかし、スーパーなどではEU規定のオーガニック食材を指す「BIO」マークや動物性食品を含まない「Vegan」マークがずらりと並び、多くの人がそのマークを意識して買い物をする。

BIOの商品が並ぶオランダのスーパー|Photo by Kozue Nishizaki

一方で欧州委員会では2024年までに持続可能な食品ラベル表示の枠組み導入の計画を進めており、オランダでも現状のラベルに加えて新たな消費者の選択基準になることは間違いないと考えられている。

ドイツでも同様に、CO2排出量ラベルの表示はほぼ皆無だ。その背景の一つとして、2008年に開始された実証実験がある。同実証では、化学大手のBASF・日用品および化学大手のヘンケル・小売大手のREWEを含む10社が、15の製品とサービスにおいてCO2排出量ラベルを表示した。

ラベルが表示された製品は、トイレットペーパー・シャワージェル・接着剤・コーヒー・卵など。実証結果は、ラベルの表示と顧客の行動との関連性は示されなかったために、特定の排出グラム数を表示するラベルには大きな意味がなく、気候関連製品の主張を伝える明確なガイドラインが必要であるということだった。

現在、電気製品や衣服などの小売店舗やオンラインショップに並ぶ製品には、生産地・材料などの記述はあるが、再生材含有率やリサイクル性などの持続可能性について記述がある製品は少数だ。

ドイツの「水産資源や環境に配慮した水産物」のラベル|Photo by Ryoko Kruger

食品分野では、エコラベルが浸透している。ラベルの種類は「地元の食品」「有機食品」「フェアトレード」「水産資源や環境に配慮した水産物」「動物福祉ラベル」などだ。地元の食品のなかでも、生産者と直接話せ、栽培・飼育条件を実際に見て確認でき、新鮮でおいしい食品を購入できる地元農家には、家族で散歩や遠足がてら足を運ぶ人も多い。

編集後記

いかがだっただろうか。「エコ・ラベル」各種は生活者が買い物をする際に大きな判断基準の一つとなる一方で、例えばカーボンフットプリントを計測すること自体のコストが企業側に問題視されているという現状もある。またオランダやドイツの事例のように、カーボンフットプリントの表示はなくとも、オーガニックやヴィーガンなどのラベルを頼りに、自らの食生活を選択している人々もいる。

小さなラベル一つで、多くの人の行動変容を促すことは考えにくいが、少しでも環境や自分自身の身体に良い生活を送りたいと思っている人々にとって、ラベルは重要なヒントになっていくかもしれない。

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Written by Megumi, Erika Tomiyama, Kozue Nishizaki, Ryoko Kruger
Presented by ハーチ欧州

ハーチ欧州とは?

ハーチ欧州は、2021年に設立された欧州在住メンバーによる事業組織。イギリス・ロンドン、フランス・パリ、オランダ・アムステルダム、ドイツ・ハイデルベルク、オーストリア・ウィーンを主な拠点としています。

ハーチ欧州では、欧州の最先端の情報を居住者の視点から発信し、これからのサステナビリティの可能性について模索することを目的としています。また同時に日本の知見を欧州へ発信し、サステナビリティの文脈で、欧州と日本をつなぐ役割を果たしていきます。

事業内容・詳細はこちら:https://harch.jp/company/harch-europe
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