旅行者と旅行先の地域のための新たな民泊プラットフォーム「FairBnB」が2019年1月にローンチする。あなたは、“フェアな民泊” と聞いて何が思い浮かぶだろうか。
日本はもちろん世界各地で民泊のムーブメントを起こしたAirbnb。宿泊事業を民主化するというイノベーションにおいて、Airbnbは大きな功績を持つ。市民が旅行者に自宅の空きスペースを貸し出すシンプルな考えに基づいた本サービスは、地球上の多くの地域で利用可能となり、Airbnbの収益はわずか10年間で年間20億米ドルを超えた。
一方で、こういった民泊事業による弊害もある。法整備が行われていない環境では、家賃上昇や近隣住民への騒音被害、オーバーツーリズム、脱税、既存観光事業の崩壊などが起こっており、地域コミュニティにとってはメリットを上回ってしまうこともあるのだ。
今回紹介するFairBnBは、旅行先の地域社会にとってより有益にする重きを置いたプラットフォームだ。IDEAS FOR GOODで以前紹介した「サステナブルな宿泊施設だけを掲載するZerobnb」と同様、命名からしてこだわりを感じる。
FairBnBとAirbnbには、主に3つの違いがある。一つ目の違いは、サービスの透明性と合法性だ。FairBnBでは行政と密に連携を取って、ホストの納税にも協力する。民泊を大きな事業として営む業者を入れず、ホスト1人につき、リスティングできる物件は1件に限定するという。これにより、地域の法に準じたクリーンな民泊事業を行う人々を増やすという目的だ。
二つ目は、FairBnBが得た利益の50%がさまざまな地域のコミュニティプロジェクトの資金調達にあてられることだ。ホスト、ゲストなどのユーザーが払う金額はAirbnbとそう変わらないが、プラットフォームの手数料の半分は運営、残りの半分が地域のために使われる。プロジェクトは資金不足であることが多いため、できる限りの還元を行う。
そして三つ目の違いは、FairBnBが企業ではなくホスト、近隣住民、地域の事業主などの協同組合により運営されていることだ。プラットフォーム運営に携わる職員らの給与など組織がすべて透明化されており、ホスト等もその一員として役員選挙に投票できる。FairBnBはつまり、コミュニティによるコミュニティのための民泊を提供するのだ。
FairBnBは、すでにオランダのアムステルダムでバケーションレンタルをフェアに提供するパイロットプロジェクトを行い、成果を証明した。2019年1月からは、アムステルダム、バルセロナ、ボローニャ、ヴェネチアの4都市でレンタルが始まる。
AirBnBが活発化させた民泊の魅力に、「コミュニティファースト」という思想を加え、高次元のサービスを提供する。FairBnBには、世界各地でコミュニティをさらに調和・団結することが期待される。
【参照サイト】Fairbnb