世界中で人気のあるサッカーだが、実は環境に大きな影響を与えるスポーツでもある。ピッチの状態を保つには水がいるし、凍結を防ぐには暖房がいる。そして、芝生の成長にはエネルギー集約型照明装置が必要だ。投光器、ビデオスクリーン、スコアボードは電力を多く必要とし、5,000人以上のファンは大量の二酸化炭素とゴミを排出する。
そんな中、イギリスの美しい丘陵が広がるコッツウォルズ地方に拠点を置くサッカークラブForest Green Rovers(フォレストグリーン・ローヴァーズFC)が、気候変動への取り組みに成功している団体を讃える「2018 UN Climate Action Award」を受賞した。チームが、サッカーファンに環境への配慮と持続可能な生活、そして再生可能技術を提供していることが評価された。
フォレストグリーン・ローヴァーズFCは2010年に世界初のカーボンニュートラルなサッカークラブになる目標を定めた。そして2010年以降、FIFAは当クラブを「世界で一番グリーンなサッカークラブ」に認定している。実際には、以下のような運営で環境への配慮をしている。
- グリーンエネルギーによる100%の電力供給
- 選手や訪問者のための電気自動車の充電スタンドの設置で渋滞や排気ガス削減
- 雨水のリサイクル
- 太陽光発電式ロボット芝刈り機の使用
- 選手には完全菜食主義の食事療法を採用
そして今回、国連が評価したのは、フォレストグリーン・ローヴァーズFCが達成した以下の点だ。
- 炭素排出量を2017年以降3%減少させたこと
- 観客1人当たりの二酸化炭素排出量を2011年以降42%減少させたこと
- 2016年に給水からの使用済みである水の8%以上をリサイクルしたこと
- 2017年にシーズン中のゴミの排出量を14.7%削減させたこと
- エコマネジメントと欧州環境管理監査制度(EMAS)認定を取得した唯一のクラブであること
- 学校や地域社会と協力して、スポーツ、健康、持続可能性のメリットを伝える無料教育プログラムを提供していること
さらに地元企業は、フォレストグリーン・ローヴァーズFCのグリーン活動から大きな利益を得ているという。 メディアの報道によりこの地域へ多くの人がやってくるようになり、ファンの多くはヴィーガン(ビーガン)になったり、電気自動車を購入したりとより持続的な生活を行うことでチームのグリーンビジョンを再現している。また、アーセナルFCなど、他のスポーツクラブにも環境への取組みを定期的にアドバイスしている。
ファンや地域の子どもたち、そして他のスポーツクラブにも好影響を与えているフォレストグリーン・ローヴァーズFC。環境と健康への配慮がさらなる集客を促し、グリーンビジョンが循環されることでエコの普及につながっている。
【参照サイト】 Winners of 2018 UN Climate Action Award Announced
【参照サイト】 Creating the Greenest Football Club in the World – Forest Green Rovers | United Kingdom
(※画像提供:United Nations Climate Change)