世界各国でプラスチック製品の使用を廃止する流れが来ている。しかし、代替可能な素材がないためにどうしても廃止できない製品もあるのも事実。多くの人が使っているコンタクトレンズもその一つだろう。
そんなコンタクトレンズを“廃止するのではなく、他の製品に変えよう”と考えたヘルスケアメーカーがある。英国で初めてコンタクトレンズとその空ケースをリサイクルする試みを始めた、ジョンソン・エンド・ジョンソン(以下、J&J)だ。
J&Jは、英国の大手小売店に協力を募り、1,000を超えるコンタクト関連のゴミ回収スポットを設置することを目指すという。同時に、世界20カ国で多くのリサイクルゴミ回収モデルを提供するグローバル企業TerraCycleと協力し、Webサイトで近くの回収スポットを紹介している。回収場所に行くのが難しい人は、宅配便でまとめて使用済みコンタクトレンズ送ることも可能だ。
使用しているメーカーや、レンズの種類(1day/2week/1month)なども問わず、すべてのコンタクトレンズがリサイクルの対象になる。集められたコンタクト関連のゴミは最終的に、屋外用の家具やプラスチック製品などに生まれ変わるそう。
J&Jの調査によると、英国内の3分の2ほどの消費者がリサイクル分別に戸惑うことがあり、約370万人のコンタクトユーザーのうち39%がコンタクトをリサイクルできることを知らなかった。そして20%のコンタクトユーザーが、使い終わったレンズをトイレや流し台に捨てているそうだ。
米アリゾナ州立大学の研究チームは、この行為は環境汚染の原因となるマイクロプラスチックを増やしている可能性があると発表。米国の排水には年間何十億枚ものレンズが流れ込み、少なくとも年間2万キロのコンタクトレンズが堆積していると、CNNが報じている。
今回のリサイクルプログラムの狙いは、埋立地や水路などのプラスチック廃棄物を減らすこと。J&Jが掲げる持続可能な目標への、一つのステップとなるだろう。
日本でも、コンタクトレンズ専門店アイシティが2010年から空ケースをリサイクルする取り組みを行っている。2010年4月から2018年11月までの総回収量は290tを超え、CO2削減量(回収分のケースを焼却した場合のCO2排出量)は東京ドーム48.2個分の森林が1年間で吸収するCO2と同量。ケースの回収は小さいながらも削減効果は大きく、まさに塵も積もれば山となるということだ。
日本でもこのような取り組みを行っているのを知らなかった人や、そもそもコンタクトレンズはプラスチックごみになるとは思わなかった人もいるのではないだろうか?ペットボトルや、食品トレー、紙パックなどと同様に、コンタクトレンズのリサイクルが普及する日も近いかもしれない。
【参照サイト】Johnson & Johnson Vision launches the UK’s first free nationwide recycling programme for all contact lenses
【参照サイト】アイシティecoプロジェクト
【参照サイト】TerraCycle
【参照サイト】洗面所の流した使い捨てコンタクトレンズ、プラスチック汚染の原因に