力強い筆致で見る人を惹きつける名画「ひまわり」を描いた巨匠ゴッホの生誕の地として知られるオランダで、ヒマワリの天然成分から持続可能な素材をつくりだす取り組みがある。
ヒマワリは、一般的に油や、種子、バイオ燃料を生産するために栽培されている。油を搾り出した後、一部は動物用飼料として使用されるが、大部分は使い道がなく無駄になっている。そこでオランダのデザインスタジオThomas Vaillyは、普段そのまま捨てられる茎の泡状の構造や表皮の強い繊維など、多くの部位が新たなバイオ素材をつくるための貴重な資源となりうることに注目した。
農家が種を収穫後、同スタジオはヒマワリの茎や葉を含むあらゆる部分を加熱し、油を採取したあとの“あぶらかす”を素材に変える。ヒマワリが植物性のレザーや、毒性のない水性接着剤、ニスなどに生まれ変わるのだ。
また、茎の内側は天然由来のポリスチレン代替物へと加工される。今回つくられるバイオ素材はすべて、同じくヒマワリでできたニスでコーティングし、耐水性を向上させることができる。
捨てられるはずだったヒマワリ栽培の副産物をさまざまな素材に変え、それを組み合わせてさらに高品質なものをつくり出す手法は、驚くばかりだ。
Thomas Vaillyは、「以前は無駄と考えられていたさまざまなものの再利用が可能になりました。バイオベースの素材は、合成素材の代替品と見なされるべきではなく、また違った活用のされ方が考えられるでしょう」とコメント。
画家ゴッホは、ヒマワリに明るい太陽やユートピアを見出したといわれる。同スタジオも、今までは大量に廃棄されていた、ヒマワリの使われていない部分まで最大限に活かすことにより、持続可能な未来を描いていると言えるのではないか。
【参照サイト】SUNFLOWER ENTREPRISE © / development – studio Thomas Vailly