世界各国で、レジ袋やペットボトルなどによる環境汚染が深刻化している。
イタリアも世界の例に漏れず、浜辺にある大量のプラスチックゴミが大きな環境問題となっている。イタリア国立環境保護研究所(ISPRA)が発表したデータによると、毎年50万トン以上ものプラスチックゴミが地中海沿岸に打ち捨てられ、ビーチの100mごとに500~1,000個ものゴミが流れ着いていると算出されている。
こうしたプラスチック問題の対策として、イタリアでは、包装なしで販売する食料品等の値下げを促すために、店主に金銭的インセンティブを与える法案が提出された。包装なしで販売される食料品や洗剤、量り売り用のディスペンサーや再利用可能な容器で販売される飲料・シャンプー等の液体物を、各店の店主が値下げすることを想定している。
法案は、9月に発足したイタリアの連合政権によって、環境保護活動の一環として打ち出された。新政権はこのほかにも、車やスクーターの使用を減らすために公共交通機関のシーズンチケットを販売することや、ハイブリッドスクールバスへの2000万ユーロ(約24億円)の投資計画、都会の森林再生計画、学校での環境保護キャンペーンについても議論している。
政治的な動向ばかりではない。スウェーデンの16歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの活動に影響を受け、9月27日におよそ100万人のイタリアの学生たちが国際的な気候ストライキに参加しており、国内の若者の環境保護への関心も高まっている。
日本でもプラスチック問題への関心がようやく高まってきたが、レジ袋有料化が問題の大きな切り札になっているとは言い難く、過剰包装が続いているのが現状だ。日本近郊のアジア諸国に目を向けると、台湾ではドリンクのレジ袋やストローが法律で禁止されている。日本の今後の環境政策にとって、こういった海外の事例は大いに参考になるだろう。今回の、店舗に金銭的インセンティブを与える形で法整備を進めるイタリアのやり方が、プラスチック削減にどの程度の効果をもたらすか注目したい。
【参照サイト】Italy proposes to cut prices for food sold without packaging(The Guardian)
【参照サイト】7月1日起內用禁吸管 外帶暫緩1年(中時電子報)