世界的な人気を誇る英国のロックバンド、コールドプレイ(Coldplay)は11月、最新アルバム『Everyday Life』のプロモーションツアーを一時休止すると発表した。環境に配慮し、ライブツアーに伴う長時間の移動、当日の会場の電力消費、CO2排出などを防ぐためだ。
当面は、ヨルダンですでに行われたライブの様子をYouTubeで無料配信し、世界中の視聴者に歌を届けるという。
バンドのリードシンガー、クリス・マーティン氏は「次にツアーをするなら、最大限環境に配慮したものになるだろう。ツアーが持続可能なだけではなく、環境にポジティブな影響を与えることについて、向こう数年取り組んでいく。私たちは皆、仕事をするときのベストな方法を考えなければならない」と語る。同氏はツアーのための移動が最大の課題だが、太陽エネルギーを活用し、使い捨てプラスチック不使用のライブを披露したいとしている。
今回のコールドプレイの決断について、WWF(世界自然保護基金)の気候変動担当者ガレス・レッドモンドキング氏は「世界的に有名なアーティストが、地球を守るべく一歩を踏み出すのは素晴らしいこと。私たちには、気候危機に対する責任がある。次の世代のために、地球を保護する行動をしない手はない」と述べる。
音楽活動をしながら環境に配慮するミュージシャンは、コールドプレイだけではない。米国のポップ歌手ビリー・アイリッシュは、自身のワールドツアーにて、プラスチック製ストローの不使用と、マイボトルの持参をファンに呼びかけている。
また英国のポップバンドThe 1975は、ライブTシャツを毎年新たに販売する代わりに、過去のライブTシャツの余りに新たなデザインをプリントし、新たな価値を与える取り組みをしている。すでに過去のライブTシャツを持っている場合は、ライブ会場に持参すると無料で新たなデザインに生まれ変わったTシャツを受け取ることができる。
アーティストの影響力は甚大だ。コールドプレイをはじめとしたミュージシャンたちが率先して環境に配慮する姿勢を示すことは、多くの人にインスピレーションを与えるだろう。今回の取り組みが広がることに期待だ。
【参照サイト】Coldplay to pause touring until concerts are ‘environmentally beneficial’