目指すはゼロウェイスト。ごみ回収にも環境にも配慮したニューヨークのデザインゴミ箱

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ニューヨーク市には、23,250個を超える公共のゴミ箱が置いてある。ゴミ箱は1930年代から、緑色のメッシュタイプのデザインをほぼ変えずにきていたが、同市は2018年から2019年にかけて、ゴミ箱の新しいデザインを決めるコンペ「BetterBin」を開催した。

「ニューヨークの住人やゴミ収集作業員がより使いやすく、ゴミを減らせるような新デザインはないか。」これがコンペが掲げた課題だ。2030年までに埋立廃棄物をゼロにするという同市の目標に近づくためにも、人々がゴミの減量やリサイクルについて意識するようなデザインが求められた。

コンペの結果、選ばれたのはGroup Projectというチームが考えた、外部の囲いとゴミが入る容器が組み合わさった、取り外せるゴミ箱だ。従来のデザインでは、作業員が重いゴミ箱全体を持ち上げてゴミ回収をしていたが、新デザインは従来のゴミ箱と比べて50%も軽い内部の容器のみを持ち上げるだけでゴミ回収が可能なため、作業員の負担を軽減することができる。また、容器にはグリップが8個も付いており、従来の2個と比べて持ち上げやすくなっている。

ゴミ箱のフタは「リサイクル用」が青、「埋立地行き」が黒と色分けされており、両者の違いがわかりやすいのも特徴だ。ゴミ箱の素材はリサイクル可能で、ここでも環境への影響を配慮している。道行く人にリサイクルの意識を喚起させつつ美的センスも高いと、市民からの反応は良好だ。

プロトタイプは、まずマンハッタンの5番街に置かれる。5番街はニューヨークを代表するショッピングエリアであり、多くの人がゴミ箱の新デザインを目にすることだろう。Group Projectはニューヨーク市衛生局(DSNY)と協力しながら、ゴミ箱のさらなる設計開発を行い、大量生産に対応できるデザインにするという。ゆくゆくは、従来のゴミ箱をすべて置き換える予定だ。

公共のゴミ箱に捨てられるゴミの量は、ニューヨーク市全体から出るゴミの量の2%以下に過ぎないという。しかしパブリックスペースに置かれるゴミ箱のデザインは、環境に対する人々の意識や態度を形作る助けになるのではないだろうか。環境だけでなく、ゴミを回収する作業員に対しても優しいゴミ箱は、ニューヨーク市民の生活をより快適なものにするだろう。

【参照サイト】BetterBin

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