IDEAS FOR GOODでは過去に、英国のスーパーマーケットによる環境負荷削減につながる取り組みを度々紹介してきたが、英国では近年、小売店や飲食店を中心に環境保護に向けた企業と消費者の動きが非常に活発化している。
英・大手スーパーマーケットチェーンのAsdaは2020年5月より、プラスチック削減に向けた新たな取り組みとして「サステナビリティストア」を目指し、イギリス・リーズ市の店舗でリフィルコーナーを設置し、試験的にオープンすると発表した。Asdaは英国内に占める4大スーパーマーケットチェーン(Tesco, Asda, Sainsbury’s, Morrisons)の1つで、この4社の中では、顧客が容器を持参して食料品を詰めるビジネスモデルを初めて導入することになる。
同店では、自社ブランドのコーヒー豆、パスタ、米などに加え、Kellogg’s(ケロッグ)のシリアルやUnilever(ユニリーバ)の茶葉などの大手メーカー製品の協賛を得ることにより、多くの食料品を量り売りで販売する予定だ。顧客は持参した“マイ容器”にそれらの食料品を入れ、量に応じて支払う仕組みになっている。また、野菜や果物、キノコ等の食材もプラスチック包装を使用せず販売するという。
今回のAsdaの動きの背景には、2019年6月より同国の高級スーパーマーケットチェーンWaitroseがすでに類似の取り組みを数店舗で行い、顧客からポジティブな反応を得ていることにある。
リーズ市内にオープン予定の「サステナビリティストア」は、従来のサービスの質や顧客満足度を失うことがないよう、現段階では“実験”としての位置づけが強い。今後、5月のオープン前にもテスト期間を設け、実際に来店した顧客から積極的にフィードバックを受けてサービスを改善し、利便性や環境負荷のバランスを模索していくという。上手く機能すれば、他店舗にも同様の取り組みを展開していく方針だ。
今ほど物が溢れていなかった時代には、どの国の商店でも「サステナビリティストア」のような形態がおそらく取られていただろう。資源や環境を犠牲にし続けて成り立つ利便性は、もはや持続可能ではない。このような、消費者の環境意識に基づく先進的な英国の事例が世界中の人に認知され、試行錯誤が行われながらもより良い環境問題の解決策が見出されていくことを今後も期待したい。
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