カーボンネガティブとは・意味
カーボンネガティブとは?
カーボンネガティブ(Carbon negative)とは、経済活動によって排出される温室効果ガス(CO2や水蒸気など)よりも、吸収する温室効果ガスが多い状態を指す。たとえば、企業のCSRとして大規模な植林活動をし、大気から取り除かれるCO2が事業活動に必要なCO2を上回った場合は、カーボンネガティブとされる。この言葉を広めたのは、米マイクロソフトだ。同社が2020年1月に「2030年までにカーボンネガティブを目指す」とブログで宣言後、この概念が注目されるようになった。
一企業がカーボンネガティブを実現することは簡単ではない。この野心的な目標を達成するためには、より多くのカーボンオフセットをするほか、植林やグリーンエネルギーの生成、エネルギー効率の向上などをし、企業やセクター、国が排出するよりも多くのCO2を大気から取り除く必要がある。
カーボンニュートラル、カーボンポジティブとの違い
カーボンネガティブに、カーボンニュートラル、そしてカーボンポジティブ。三つの言葉に共通する目標は、製品や地域、または生産手段のCO2排出量を実質的に打ち消すことだ。
カーボンニュートラル:事業活動で出すCO2と、吸収するCO2をプラスマイナスゼロにすること。「ネットゼロ(正味ゼロ)」とも似ているが、ネットゼロが企業が排出するのと同量のCO2を植林などによって実際に除去するのに対し、カーボンニュートラルは大気からのCO2の除去のために金銭の支払いにより排出量をオフセットすることが多いという違いがある。
一般的な用法では、企業が「カーボンニュートラル」であるとは、排出量の削減を避けるため、あるいは、大気からの CO2 の除去のために金銭の支払により排出量をオフセットすることを指すことが多いと言えます。しかし、これらはまったく異なる行為です。たとえば、排出量を削減せずに済ませる方法の一つに、森林所有者に対して伐採をしないよう支払を行なうことがあります。これは良いことではありますが、実質的には、悪影響がある行為を他人に行なわせないために資金を使っていることになります。これは、CO2 の除去に貢献する、植林を増やすことにはつながりません。
これに対して、「ネットゼロ」とは、企業が、排出するのと同量の CO2 を実際に除去することを意味します。ここで、単に「ゼロ」ではなく「ネットゼロ」(正味ゼロ) と言うのは、依然として CO2 は排出されているものの、排出量が除去される量と等しいことを意味するからです。(マイクロソフト News centerより引用)
カーボンポジティブ:カーボンネガティブと意味は変わらない。環境化学用語で、温室効果ガス(特にCO2)を削減した際、ライフサイクル全体をみて、排出される量より吸収できている量が多くなっている状態を指す。ユニリーバやパタゴニア、イケア等の企業はカーボンポジティブと呼んでいる。
また、同じく気候変動に関連した用語として「カーボンロックイン(化石燃料をベースとするエネルギーシステムにより、温室効果ガスの排出が固定化されてしまうこと)」も一緒に覚えておきたい。
カーボンネガティブを目指す企業の事例
日本ではまだあまり聞くことのないカーボンネガティブの概念だが、海外企業においてはカーボンニュートラルよりもさらに一歩先を行く概念として注目されており、実際の取り組みも進んでいる。
マイクロソフト(Microsoft)
マイクロソフトは、2020年1月に投稿されたブログの中で、2030年までにカーボンネガティブを実現することを発表した。さらに、2050年までに、1975年の創業以来、自社が直接的および電力消費等によって間接的に排出してきたすべてのCO2を環境から除去するという。自社の直接排出だけでなく、サプライチェーン全体の排出も削除する取り組みだ。
ブリュー・ドッグ(BrewDog)
スコットランドのブルワリーであるBrewDog(ブリュー・ドッグ)が、スコットランドの南西部にある2050エーカーの牧草地と泥炭地を購入し、広大な森に変えるプロジェクトを2020年8月に発表した。こうした一連の取り組みによって隔離されるCO2は、30万トンと予測され、サプライチェーンも含め、BrewDogの事業によって排出されるCO2の2倍に相当する。CO2の削減量などはすべて第三者によって検証され、結果は公開されるなど取り組みの透明性も確保されている。
【関連ページ】カーボンニュートラルとは・意味
【関連ページ】カーボンポジティブとは・意味
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