世界自然保護基金(WWF)が地球温暖化対策として発足させ、オーストラリアから世界中に広まったキャンペーン「EARTH HOUR(アースアワー)」が、2020年3月28日(土)から開催される。各タイムゾーンで20時半から21時半の1時間、順番に消灯し、それが地球をぐるりと一周リレーする、まさにグローバルなムーブメントだ。
このEARTH HOURは世界170を超える国と地域で実施され、過去にはビッグベンやコロッセオ、エッフェル塔、ピラミッド、シドニーのオペラハウス、台北101といった、著名建造物も消灯した。日本でもWWFジャパンが「東京スカイツリータウン」をはじめ、横浜市や広島市で実施している。
EARTH HOURの特設サイトでは環境光センサーを使用しており、通常のウェブサイトに比べて“暗い”つくりが特徴的だ。明かりを消して閲覧し、サイト上に設けられたスイッチを「OFF」にすることで、キャンペーン参加の意思表明ができる。
東京や世界各地の大都市を「眠らない街」と表現することがある。24時間人々が活動し、店頭が光々としている光景に、私たちはどこか慣れてしまっているが、本当にそんなに多くの光が必要なのだろうか。2011年の東日本大震災後には電力供給が追いつかずに、オフィスや店頭では電気消費を自粛する動きがあったが、今ではまた、繁華街などでは競うようにしてネオンや眩しいくらい光る看板で集客している。この「光」の多くは化石燃料によって発電され、多くのCO2を排出している。
また、「光害(ひかりがい)」という言葉もある。光が強すぎると人の眠りを妨げるだけでなく、昼と夜のサイクルで生活する自然の動植物の生態系に悪影響を与える。古代の人々は星空を眺めることで、暦や航海術を発達させた。一方で現代人の多くは、宇宙に行くことには関心はあっても、普段眺める夜空が持つ、惚れ惚れするような世界を自らぼやかしてしまっていることには、気がつかない。
「蛍の光、窓の雪」とうたわれるように、夜間に勉強するための光は、昔は大変貴重なものだった。「EARTH HOUR(アースアワー)」で一斉に消灯することで、常日頃から光に感謝し、節約する心を育みたい。あなたも、3月28日の20時半から少しの間、自宅やオフィスの明かりを消してみてはいかがだろうか。
【参照サイト】Tinctorium