毎日の食生活をサポート。食品のバーコードから「健康レベル」を測るフランスのアプリ

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「健康」は人の暮らしの土台となり、お金や時間と同じ、あるいはそれ以上の価値を持つ無形の資産である。

健康を増進する要素にはさまざまなものがあるが、その中でも運動や休養と比べて、より多くの知識を必要とするのが栄養面だろう。健康的な食生活をしたいと思っていても、市場で売られる数多くの商品の中から体に良いものを自力で選び取り、栄養バランスのとれた食事を毎日するのは実際には難しい。

そんな悩みの解決に乗り出し、2016年にフランスで誕生して以来、国内外で着々と認知を高めているサービスがある。無料食品分析アプリ「Yuka」だ。現在、サービスの幅を化粧品にも拡げる本アプリは、商品のバーコードをスマートフォンでスキャンすると、原材料情報に基づいて商品の健康レベルを評価してくれる仕組みだ。

Yuka 使用画面

アプリの使い方は簡単。買い物をする際、商品バーコードをスマートフォンカメラにかざし、その商品がデータベース上に登録されていれば、すぐに健康スコアが100点満点で示される。また、栄養価、食品添加物、有機的側面の3つの指標に応じて、「非常に良い・良い・普通・悪い」、の4段階評価が表示され、栄養成分ごとの評価値も参照できる。

栄養価は、フランス公共健康機関が作成した栄養評価方法。食品添加物の評価は、欧州食品安全機関、国際がん研究機関などの推薦、あるいは最新の科学的研究に準拠。原材料のオーガニック的側面については、EUで最も有名な有機認証・ユーロリーフの基準に従っているなど、3指標のいずれも客観的で、正確な情報を基にしている。

また、分析画面をスクロールダウンすると、類似商品でよりスコアが優れているものが代替案として紹介される。自分が読み取った商品のスコアが芳しくない場合には、常に他の健康的な商品も知り、比較検討することができるのだ。

共同創業者の1人、ブノワ(写真左)は当時3人の子供の父であり、家族がより健康的な食生活を送れるよう栄養について勉強していた。そして買い物の際に原材料表示を読み解く、という骨の折れる作業を少しでも楽にする方法はないかと、仲間と追求していった結果、今のYukaの形にまで至ったという。

Yuka創業者たち

Photo by Eveline de Brauw

Yukaはアプリによる無料サービスの他に、より充実した情報を届ける有料会員サービスと、栄養にまつわる10週間のオンラインプログラムも手がけており、その2つの事業から資金調達を行うことで、情報提供機関としての独立を保っている。特定のブランドやメーカーがスポンサー契約で商品判定に影響を与えることがないので、情報の公平性が担保されているのだ。さらに、アプリ上では一切の広告表示がなく、真に中立的な立場からシンプルに消費者の健康な生活を手助けしている。

健康面への直接的な影響がありながらも、食品や化粧品にだって、安全性以外にも消費者を惹きつける商品価値があるのは確かだ。それは「あの時食べた懐かしい味」といった個人のストーリーであったり、「このブランドが好き」といった商品への愛着であったりする。

しかし、それらが人体に影響を及ぼす性質がある以上、Yukaが消費者に届けるサービスは「成分の透明化」という普遍的な価値をもたらす。大切なのは一人ひとりの消費者にそうした情報が行き届き、問題意識を育てることであり、あくまで選択の自由は個々人に委ねられている。

本アプリは現在、フランス語と英語を中心に、EU諸国やイギリス、北米地域において商品データベースを拡張し、サービスを展開している。Yukaの日本市場への参入、あるいは日本版の同等のサービスの登場が待ち遠しい。

【参照サイト】Yuka

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