ボーダレス・ジャパン代表 田口一成氏インタビュー。その社会課題解決力の根底にあるもの

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「ソーシャルビジネスで世界を変える」をミッションに、2007年の創業以降わずか13年で35の事業を展開し、日本、韓国、台湾、バングラデシュ、ミャンマー、ケニアなど世界12か国へ活動の幅を広げる、ボーダレス・ジャパン

貧困、環境破壊、人種差別といったさまざまな社会課題にビジネスの形態で挑む、ボーダレス・ジャパンがもたらす社会的インパクトは非常に大きい。IDEAS FOR GOODではこれまでボーダレスグループの方々へのインタビューに加え、イベントでも数多く取材をしてきたが、今回は、ボーダレス・ジャパン代表の田口一成さんに直接お話をお伺いしてきた。

田口さんは25歳でボーダレス・ジャパンを立ち上げ、ソーシャルビジネスの第一人者としても多くの人に知られている。そんな田口さんに、その社会課題解決力の源にあるものや、行動に迷ったときの考え方、これからやりたいことを伺った。

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ボーダレス・ジャパン代表取締役社長 田口一成さん

すべては社会実験。やってみないとわからない

Q:田口さんのこれまでの活動を見ていると、外国人が住む家がないという問題を知って外国人のためのシェアハウス事業を始めたり、ミャンマーの農村の貧困問題を知ってオーガニックハーブの契約栽培事業を始めたりするなど、社会課題に気づいてから解決策を見つけるまでがとても速いと感じます。スピード感の秘訣は何でしょうか?

「無知であることを自覚する」ということですかね。僕は自分が無知であるとを知っているので、プランニングをするときもいろんな人に話を聞きに行きます。「分からないから教えて」と。だから早いんです。事業モデルも一日で仕上がるくらい。

あとは「まずやってみる」というスタンスですね。やってみないとわからないですから。その代わり、やった結果をよく見ます。やった結果を謙虚に受け止めて、「仮説が間違っていた」と思ったら素直にもっと良い方向に修正する、という連続です。プランニング力よりも、結果からどう修正していくかという「修正力」のほうが、起業家には必要だと思います。

それから、大前提として、そもそもソーシャルビジネスは「社会実験」であると思っています。実験というのは、正解がないから実験するわけじゃないですか。「こうすれば絶対こうなる」とわかっているなら、それは実験ではなくて検証ですから。変えていくことを基本スタンスとしているというのも、基本的なスピードを速くしている要因かもしれないですね。

ソーシャルビジネスに原体験は必ずしも必要ではない

Q:社会課題に取り組むきっかけが、大学時代に TVで貧困問題を知ったことだったというのは本当でしょうか?

本当です。僕はもともと好きなものがなくて、何か一つのことに集中して極めていく人がうらやましくて。何か社会にとって価値あることをやる人間でありたいという野心だけはあって、きっかけをずっと探していました。そんなときに、TVで貧困問題のドキュメンタリー映像を見て、「これだ!」と思ったんです。人類の先輩たちが過去何百年も取り組んできたのに解決できなかった貧困問題に、自分の人生をかけてみよう、と。そこから、実際に現場に行ったりしたことで、「この人のためにがんばろう」という気持ちももちろん生まれました。でも、最初のきっかけは、「野心をどこに向けたらいいのか」というところからでした。

だから僕は、原体験は必ずしも必要ではないと思います。野心がきっかけでも行動が伴えば、あとからでも原体験はどんどん得られるので、体験を通して深めていけばいいんです。

それから、「自分の気持ちに素直に生きる」ということは大切にしていますね。思っていることとやっていることが違うということは、僕の中ではありえません。違和感に蓋をして生きることはできない。一生懸命生きて一つでも多くの社会的インパクトを出して、死ぬときに「少しでも社会を良くすることができた」と言いたいじゃないですか。自分の生きる価値はそれだと思っているので、どこまでも追求を続けていきます。

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一番の成功は、仲間に恵まれたこと

Q:ボーダレスグループの2018年度の売上は約50億円です。順調に拡大している要因は何でしょうか?

うまくいっているかどうかは、考えたことがないですね。僕は売上や利益といった数字に興味がないんです。僕が気にしているのは、「年間何社立ち上がったか(=何個の社会ソリューションを作れたか)」「立ち上がった会社のうち、何社が黒字になっているか(=何社が自立できているか)」という2つの指標だけです。

仮にうまくいっているとしたら、僕はやっぱり仲間に恵まれているというのが大きいですね。創業期のメンバーが、一生懸命やってくれたのがすごく大きいです。例えば、創業メンバーの一人で、現ボーダレス・ジャパン副社長の鈴木は、僕がブルドーザーのように開拓していったところを、しっかりとならしてくれます。僕がどんどん事業を開発して、鈴木が資金や制度などバックエンドの部分を整えるような関係ですね。このベースの信頼関係があるから、今、社長の僕がバックエンドの部分にノーコミットでも、会社が確実に前に進むことができています。

Q:創業期のメンバーは、当時まだ先が見えない状況のときに、どうしてついてきてくれたのだと思いますか?

あえて言うなら「この人と一緒にいるとなんだか自分の人生飽きないな」と思ってくれたからだと思います。僕はいつも、足元の改善をやりつつも、常に、何個か先の構想があるんですよ。僕が来年言い出すことは、誰にも予想できません。だから、皆はなんだかワクワクするのだと思います。それが僕の仕事ですし、一番長けているところだと思っているので。

今も誰にも言っていない構想があって、「皆が聞いたら燃えるだろうな、みんな喜ぶぞ」と思っているんです。言いたくて仕方がないけれど、言うのはまだ早いので控えています。

ボーダレスの仕組み自体がプロダクト。実験し続けている

Q:ボーダレス・ジャパンは、社会起業家である社員たちが立ち上げたソーシャルビジネスの会社を、グループ会社として抱えています。各社の経営には、どのようにタッチしているのですか?サポートすべきところと、起業家として失敗を経験してほしいところと、いろいろとバランスが難しそうな気がします。

このバランスについては、ずっと実験していますね。今は、黒字化した会社には完全にノータッチです。赤字の会社には、月1回の経営会議に僕が参加するだけです。

以前は、黒字の会社は月1回の経営会議、赤字の会社は週1回の経営会議を行っていました。そうすると、僕が意思決定者で、社長が実行者のような関係になってしまったんです。さらに、新規の会社では黒字化するまでの間、マーケティング専門家のバディをつけていましたが、その結果、どこかで意思決定の弱さが見えてきてしまいました。これを続けていたら、起業家として成長しないということが見えてきたんです。

今はその体制をやめ、代わりに4社の社長で1組のチームをつくり、月1回の経営会議をやっています。この形なら、お互いに今後の戦略を話したり、それに対して意見を出し合ったりできます。そこに僕は一切タッチしません。

新規に立ち上がった会社では、これまではマーケティング専門家の「バディ」が伴走していましたが、現在はボーダレス・ジャパンのマーケターやデザイナーなどのスペシャリストが在籍している「スタートアップスタジオ」にプロジェクト発注をするという形にしました。僕と起業家とマーケティングのスペシャリストの3人でキックオフのミーティングをやって、このプロジェクトでこの期間でこういうことやって、成果物はこれを上げてほしいという感じで発注をしてもらいます。意思決定は、あくまでも起業家がしっかりやるという形です。今のところ、そのやり方がすごくうまくいっています。

経営の仕方も、マイルストーン経営からキャッシュフロー経営に変えました。以前は、「事業承認を受けてから3ヶ月以内に初売上を立てる」、「初売上を立ててから1年以内に黒字化する」、「半年以内に勝ちのシナリオを見つける」といったマイルストーンを置き、マイルストーンを達成できないときには、社長会でリバイバルプランを発表してもらっていました。でも、社長会のメンバーはほぼ全員が社会起業家で、社会をよくするためにと同じ道を歩んできた仲間なので、マイルストーンが達成できなくてもどうにか事業を続けられるようにと全力でアドバイスをするんです。なので事業が停止になるということはなく、実際には危機感のない仕組みになっていました。

一方、今のキャッシュフロー経営では、初期投資とラーニングコスト合わせて1,500万円で事業を始めてもらいます。このキャッシュが尽きたら終わりです。キャッシュが尽きる前にお金を生み出さないといけないという危機感の中でやるので、起業家の本当のパワーを引き出せます。だんだん残高が減ってきたら、僕も危機感を共有して、「このままじゃまずい、どうする?」と言って、一緒にアイデアを出します。

僕らは、1回目は失敗してもいい、2回目で成功すればいいと思っています。1回失敗すると自分のダメなところが見えてきますし、事業のダメなところや可能性も見えてきます。そしてもう一度、また1,500万円で事業を始めてもらいます。そうすると、ほとんどの人が成功します。その結果、2トライ、つまり合計3,000万円で、一つの会社が立ち上がるという設計がかなり確実にできるようになりました。起業家も自由に経営できるようになりました。

ベンチャー企業の社長の役割はプロダクト作りとよく言われますが、僕にとってはボーダレスの仕組み自体がプロダクトなので、このプロダクトを修正し続け、実験を繰り返しています。

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非効率に挑むソーシャルビジネスだから、付加価値が必要になる

Q:ソーシャルビジネスを行ううえでは、いつもどんなことを考えていますか?

ソーシャルビジネスというのは、そもそも、従来のビジネスが効率を追求した結果、生じたり放置されたりしている問題に対するアプローチです。これまでは「コスト構造が悪い部分はNPOや政府などによる支援で、効率的なものはビジネスで」と切り分けられてきましたが、そのままだと問題はどんどん大きくなってしまいます。だから、ソーシャルビジネスでは、なるべく多くの範囲を経済活動の中で拾っていこうとします。非効率な部分も含めてビジネスをデザインし直すので、どうしてもコスト構造は高くなります。

例えば、これまでのビジネスでは就労の機会を得られなかったシングルマザーに、就労の機会をもたらすソーシャルビジネスを考えるとします。シングルマザーの人たちは、子どものお迎えに行くために時短でなければ働けないという事情がありますから、5人で回せる仕事を7人くらいで回す必要があったりします。また、福利厚生を充実させることも必要です。このように、ソーシャルビジネスはどうしてもコスト構造が高くなるのです。

だから、ソーシャルビジネスにおいては、価格競争をするのではなく、いかに付加価値を高めるか、ということがビジネスの出発点になります。付加価値を高めるには、アイデアが必要です。付加価値が高いということは、他との差別化ができているということです。他がやっていないことをやるということに、知恵を出さなければいけません。だから、ボーダレスの事業はちょっとユニークなものが多いです。

マーケットにおいては、最初からディスアドバンテージを背負った状態で、いわゆる効率の良いビジネスと勝負しなければなりません。だからこそ、これまでビジネスの第一線を担ってきた優秀な人たちにこそ、もっとソーシャルビジネスの分野に来てほしいと思います。優秀な人間であればあるほど、自分の力を何に使うのか、社会のためにどう使うのかを考えるべきです。でも、彼らが飛び込みたくなるようなロールモデルが足りません。効率良く規模の経済を求めるメガベンチャーと違い、ソーシャルビジネスは売上規模の最大化を求めるものではないので、目立つ事業が現れにくく、ロールモデルを作りにくいんです。

だから、小さいけれどインパクトを出しているスモールジャイアンツをたくさん作り、「こっちの方がクールだぜ」という空気を作っていきたいです。そうなれば、従来のビジネスでがんばってきた人たちもどんどん来てくれますし、ソーシャルビジネスの可能性がどんどん広がりますから。

Q:「ソーシャルビジネス版の吉本興業が必要」という思いで、社会起業家を養成するボーダレスアカデミーを実施されていますが、手応えはどうですか?

手応えはすごくいいです。アカデミー3期目がもうすぐ終わりますが、3期合わせて約140名が卒業することになります。それとは別に、一部の講義だけを聴ける聴講生が200名以上います。福岡と東京だけでこの数なので、日本全国では相当の数の人がこういうものを求めているのではないかということを実感しました。卒業後のコミュニティでは、互いのビジネスプランにフィードバックを送り合ったり、事業の相談をし合ったり、人・機会を紹介し合ったりなど、多くの助け合いが行われています。

ただ、僕はどこの場所にいても機会があるということを目指しているので、次からは「オンライン授業+合宿」という形に切り替えます。日本中どこにいても、同じクオリティの授業が受けられるという形にしたいんです。基本的な座学のところはオンラインで行い、2泊3日程度の合宿で事業プランを作り、コミュニティも作っていきます。

それから、域内で起業家を増やそうとがんばっている地域が日本全国にあるので、そこに対してオープンアカデミーのような形で、事業の作り方のメソッドをワンデープログラムに詰め込んで出張授業をしています。その活動は今後も続けていきたいと思っています。

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ボーダレスアカデミーの様子。

次なるテーマは「気候変動」

Q:田口さん自身が、これからやりたいことは何でしょうか?

一起業家として取り組みたいことは、環境問題です。貧困問題など多くの社会課題は、いろいろと問題は抱えつつも少しずつ改善に向かっていますが、環境問題だけは明らかに悪化に向かっています。地球温暖化の原因はCO2の増加であることは間違いありません。日本のCO2総排出量の約4割をエネルギー転換部門が占め、一般家庭においても、CO2排出量の約半分を電気が占めています。エネルギーの問題に対して世界中が動いているのに、日本だけが火力発電を増やすと言っています。日本人として恥ずかしいですし、まずいと思っています。

電力自由化から約4年経ちましたが、実際に電力を切り替えた人は国民の2割程度で、再生可能エネルギーに切り替えた人はほとんどいない状態です。もちろんがんばっている電力会社もあるのですが、大方の人には届いていません。一方、エネルギーの問題は環境にマイナスな影響を及ぼし続けています。今こそ、再生可能エネルギーの普及に取り組まなければならないと、自分の起業家魂に火が付いています。

新電力に切り替えると一般的に少し安くなるにもかかわらず、国民の約8割はまだ電力を切り替えていません。つまり、お金では人はあまり動かないということです。なのでそれを越える目的を作れば、人は動くのではないかと思い、電気を通して、社会にとって良いことをする人を応援するという仕組みを作ります。月々の電気代のうち、1%が社会の為に活動する団体への応援寄付に、もう1%を再生可能エネルギーの発電所開発に回すエネルギー事業です。電気の中身は、できる限り再生可能エネルギーで構成して、CO2フリーを実現します。決して利益が出やすい事業ではないですが、ボーダレスグループ全体の収益がある今だからこそできると思っています。いろいろなところと連携して取り組みたいですね。

Q:日々の暮らしの中で何気なく行う電化製品のスイッチのON・OFFが、世の中のためになるというのは、とても気持ちの良い暮らしになりそうですね。

それを実感してもらえると思います。今は、知らず知らずのうちに、日々の行動が原子力発電や火力発電につながってしまっています。多くの人が地球温暖化への危機感を感じながら、実は日々の生活から大量のCO2を排出してしまっているのです。CO2フリーの電気に切り替えるだけで、家庭から出るCO2排出量の約半分を削減できるんです。そんなシンプルな話がまだまだ知られていないので、これもあわせて伝えていきたいと思います。

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「ハチドリのひとしずく」、何もやらないよりやった方がいい

Q:以前のボーダレス・ジャパンの社員の方へのインタビューの際にも、ソーシャルビジネスにおいてはWHY(なぜやるか)がとても大事という話がありました。しかし、WHYを探し続けている人も多いと思います。そのような、何か社会貢献したいけれど何をしたらいいかわからないという人には、どのようにアドバイスしますか?

何も行動していないなら、まず行動してみようとアドバイスします。

少し行動してみたけれど、それでも一歩踏み出せないという人には、「Better than better」を選ぼうとアドバイスします。ベスト探しをしようとするから、迷ってしまうんです。人は、今まで生きてきた中で見聞きしてきたことからしか選択肢を出せません。だから、今の時点で出せる札をすべて並べてみて、それがベストと思えなくても、その中で一番ベターなものを選べばいいんです。

選んだ「Better than better」は、けじめとしてきちんとやり切ります。1つ終わらせると、経験値と知識の次元が完全に変わります。そのとき、もう一回ベターな選択肢を並べ直すと、前回と違う札が絶対並びます。こうして、前に進めていけばいいんです。

ベスト探しをしていてはダメです。今出せない札は、自分の知見を増やさない限り、出てきません。一通り興味があることを出してみて、その中で一番興味のあるもの、一番関心のあるものに素直に動いてみればいいと思います。それでもそのあと迷ってしまうのなら、それはけじめがないからなので、1回選んだらやり切るということをけじめとしてやってみようと。そうしないといつまでもフラフラしてしまって、人生が先に進まないですから。

Q:最後に、IDEAS FOR GOODの読者にメッセージをお願いします。

「ハチドリのひとしずく」というお話があります。山火事が起きて、動物たちがみんな逃げている中、小さなハチドリだけが燃える山に向かって飛んでいる。他の動物たちが「何をやっているんだ?」と聞くと、「火を消しに行く」と言って、小さな口に水を含んで火にかけようとしている。「お前が何かやっても、あの山火事じゃどうにもならない」と言われるが、ハチドリは「何もやらないよりやった方がいい」と言う、というお話です。

僕は、すべての活動は、「ハチドリのひとしずく」の考えを持っていいと思うんです。ハチドリが水を運んで山火事が消えるかと言ったら消えないかもしれけれど、何かやろうとするときに、「やってもどうせ変わらない」といった言い方をするのはカッコ悪いじゃないですか。「やらないよりやった方がいい」と言って行動するほうがかっこいいと思います。僕は、ハチドリのひとしずくのような生き方をしたいと思います。

身の回りに、「ハチドリのひとしずく」はたくさんあります。電気切り替えも、生ゴミのコンポストもそうです。それで地球温暖化が急に止まるかというと止まらないかもしれないけれど、やらないよりやった方がいいのは間違いないです。こういう行動の繰り返しが世論を作り、政治や企業を動かす原動力になっていきます。だから、まずできることをちゃんとやろうという、「ハチドリのひとしずく」精神を持つというのはとてもいいと思います。自分ができることは必ずありますし、できることをやるのって、潔くてかっこいいじゃないですか。

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ボーダレス・ジャパン代表取締役社長 田口一成さん

編集後記

今回IDEAS FOR GOODとして初めて実現した、ボーダレス・ジャパン代表の田口さんへのインタビュー。そのお話には、社会起業家だけでなく、社会課題に対して少しでもポジティブなインパクトを出そうとする人に対しての、前向きで力強いアドバイスが、エッセンスとなって凝縮されていた。

社会課題に対する取り組みというと、他の人にはない原体験や想いが必要と思いがちだ。そのため、「自分にはソーシャルビジネスに取り組む権利はないのではないか」と思ってしまう人もいる。しかし、実際にソーシャルビジネスに必要なのは、原体験や想いではなく、具体的な課題解決につなぐことのできるビジネススキルなのだ。田口さん自身、特定の社会課題に対する強烈な原体験があったわけではなかったが、だからこそ特定の課題にとらわれるのではなく、様々な社会課題に取り組むボーダレスグループを作ることができた。

ソーシャルビジネスや社会課題に対する関わり方にはいろいろな形があり、自分らしく取り組めばいい。社会課題に対する意識の高さとは関係なく、誰でも社会の役に立つことができる、というメッセージが、田口さんのお話を通じて伝わってきた。

これまでの成果に満足することなく、地球温暖化という新たな社会課題に挑もうとしている田口さん。今後の取り組みにもますます注目していきたい。

【参照サイト】ボーダレス・ジャパン
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