ニューヨークで持続可能な農業を。木を模した空中栽培システム「Glasir」

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今日の農業は、非常に多くの水と土地を使う。地球の淡水の大部分と地表の37%は農業に使われているという。WHO(世界保健機関)によると8.4億人が基本的な給水サービスを利用できておらず、2025年には世界人口の半分が水ストレスの高い地域に住むことになる。また、2050年には世界人口が100億人に到達すると予測されており、この人口を養うには今の2倍近くの農業生産が必要となる。人類の未来のために、持続可能な農業を推進しなければならない。

ベルゲンとニューヨークを拠点に活動するイノベーションスタジオのFramlabは、農業が環境に与える負担を減らすために、空中栽培のシステムを取り入れた樹形の都市農業ソリューション「Glasir」をブルックリンに作るという。Glasirという名は、北欧神話に登場する特殊な力を持つ木にちなんでつけられている。

Glasir

Image via Framlab

Glasirの大きな特徴は、空中栽培を行うモジュールがいくつも組み合わさっている点だ。ひとつのモジュールは年間480ポンド(約217キログラム)の野菜を栽培することができ、そのモジュールがいくつも繋がり樹形になると、年間48,000ポンドも栽培できる。

空中栽培は、従来の農業で使う土地のわずか10%で同程度の収穫量を実現できるため、広い土地を確保できない都市に向いた農法だ。さらに、空中栽培は従来の農業で使う水量のわずか9%しか必要とせず、水を効率的に利用できる。肥料や農薬の量も大きく減らせるうえ、植物の根がより多くのミネラルやビタミンを吸収するので、より栄養価の高い野菜ができるという。

Glasir

Image via Framlab

Glasirのシステムには人工知能と環境センサーが搭載されており、気温や卓越風などの環境条件を測定することで、Glasirの成長を場所に応じて最適化することができる。成長の最適化は、ドローンが必要に応じてモジュールを移動することで行われる。Glasirを動かすのに必要なエネルギーはすべて太陽電池でまかなわれ、外塗に使われている酸化チタンが空気中の汚染物質を抽出し、周囲の空気を綺麗にする。

Glasir

Image via Framlab

Glasir

Image via Framlab

Glasir

Image via Framlab

ブルックリンは過去10年間で急激な経済成長を遂げ、ジェントリフィケーションにより一部は食通が集う場所となったが、区全体では20%が食糧不足の状態だ。経済成長は多くのポジティブな変化をもたらしたが、一方で社会成層を形づくることになった。Glasirはまず、イーストニューヨークやカナージーといったフードデザート(食の砂漠)に配置され、地元の人々に栄養価の高い食材を提供していくという。

身近なところに自然がある暮らしは、私たちの血圧を下げたり心拍数を下げたりする効果があると証明されている。Glasirがある場所には、人々が集まりリラックスする静かな時間が流れるといい。

【参照サイト】Glasir – Framlab