捨てられるTシャツから、新たなTシャツを作る。そしてTシャツの素材であるポリエステルにつかわれる石油資源には頼ることなく、古い繊維から再生ポリエステルをつくりだすことで、循環型経済を実現する。IDEAS FOR GOODでは、以前そんな特徴を持った「BRING Tシャツ」をご紹介した。
そしてこのほど、BRING Tシャツのブランドオーナーである日本環境設計株式会社が、消費者とのよりダイレクトな服の販売とリサイクルを融合させたシステム「サーキュラーエコノミーD2C」を開始した。また、新商品としてポリエステル100%裏毛スウェットプルオーバーや、フード付きのプルオーバー、シャツ等も発表している。
これまでBRING Tシャツをはじめとした自社商品の販売は、クラウドファンディングや期間限定のポップアップショップ、BRING Material™という素材ブランドを冠したECサイトで行っていたのだが、2020年5月からはBRING™をトータルで紹介する公式ECサイトにて、直接服の回収もセットになった製品販売を行う。具体的な方法は次の通りだ。
商品の購入者がBRING™のサイトで商品を注文すると、着なくなった服をリサイクルに送るための発送封筒も一緒に届く。その服をリサイクルしようと思ったタイミングで封筒に入れてポストに投函することで、日本環境設計の北九州響灘工場に送られ、ポリエステル繊維は服の原料であるポリエステル樹脂にリサイクルされる。その後、BRING Material™として糸や生地になり、BRING™の新たな製品へと生まれ変わるのだ。その他の素材も、それぞれに適した方法でリサイクルされる。
日本環境設計が運営するBRING™は、前身のFUKU-FUKUプロジェクトとして2009年に服の回収を開始して以来、これまで消費者から3,000トンの衣料品をリサイクルしてきた。これは、Tシャツに換算すると実に1,500万枚にのぼる。
公式ECサイトで購入者から直接服の回収を行い、自社工場でリサイクル。さらにリサイクル後のバリューチェーンを管理し、再び新たな製品を製造・販売する。これらの工程をすべて同一ブランドで行うことは世界でも稀で、Tシャツ製造過程での透明性の確保が期待される。
着古したTシャツをポイと使い捨てせず、「ここから新たな製品を作れないだろうか?」と自問したブランド。古き物に新たな価値を与えるそんな姿勢を、私たちも身に付けておきたい。
【参照サイト】BRING