フィンランドの現地ガイドによる、北欧流の「幸せ」を自宅で体験できるバーチャルツアー

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新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)により、長引く外出の自粛や身に迫る感染の懸念から、日々の生活とは違うストレスを感じている人も多いのではないだろうか。これからしばらくは「with コロナの時代(コロナと生きていく時代)」になるという考察も多く上がっており、感染の拡大予防とともにコロナ禍(コロナか)でのメンタルヘルスケアも重要視され始めている。

そんな中、フィンランドへの観光を促進する団体である「Visit Finland(フィンランド政府観光局)」が、バーチャルでフィンランド流のウェルビーイングが体験できるキャンペーン「バーチャル Rent a Finn(レント・ア・フィン)」を始める。

「レント・ア・フィン」は訳すると「フィンランド人を借りる」という意味で、今回の「バーチャル Rent a Finn(レント・ア・フィン)」は、2019年に各国からゲストを招き実際にフィンランドのライフスタイルを体験するキャンペーン「Rent a Finn」を発展させ、インターネットを介して世界中の人が体験できるように工夫されたものだ。

 Rent a Finn

Image via Rent a Finn

このキャンペーンでは、5つのテーマに分けられた45分から1時間半のレクチャーがインスタグラムライブとキャンペーンサイトより配信される。内容は、フィンランド流のリラックス方法やフィンランド伝統のコーヒーの入れ方、サウナの入り方、手芸、料理、家で簡単にできるエクササイズなど、さまざまな方面からフィンランドに深く根付いている「幸せのあり方」について触れていく。

それぞれのレクチャーは、テーマに精通したフィンランド人のハピネスガイドが日常生活で大切にしている「幸せ」をもとに進められ、また参加者はそのレクチャーに必要なものを事前に用意することでバーチャルながらもより自分の体験として内容を受け入れられるよう工夫がなされている。

例えば、初回の「フィンランド人と自然を感じよう」の回では、事前に用意するものに「コーヒーかお茶、そして楽な服装」が提示されており、ハピネスガイドが伝統のコーヒーを飲みながら鳥のさえずりが響く森でくつろぐシーンで、参加者も同様に自身の五感を使いながらフィンランドの森を楽しめたり、ガイドと一緒に瞑想を行いその場でリラックスできたりと、参加者の体験に重きが置かれている。

また、レクチャー終了後にはハピネスガイドと個別に交流できるプライベート・セッションの機会も用意されており、これには誰でも応募が可能だ。(応募多数の場合は抽選となる)Skypeなどを介した15分のセッションで、参加者はマンツーマンで気になるガイドのセッションを受けられる。内容は参加者が自由に決めることができ、自身のライフスタイルに合わせたウェルビーイングの提案や、個別のエクササイズ・レッスン、事前に配信されたレクチャーでは聞けなかったより詳しい「幸せ」の話など、自身の想像力を活かせばクリエイティブな時間になるだろう。

セッションはガイドと参加者との密なプライベート性が重視されており、ハピネスガイドがフィンランド人であるため、応募は英語のみで受け入れているが、参加者は英語が流暢である必要はない。

Rent a Finn

Image via Rent a Finn

「バーチャル Rent a Finn」の画期的な点は、自宅からフィンランドのライフスタイルをオンラインで体験できる点にあるだろう。PR・メディアマネージャーのイーヴァカイサ・モルサ氏(Eevakaisa Molsa)は今回のキャンペーンについて「これは、フィンランド人と世界中の人々とがつながる良い機会だと思います。今私たちは旅行に行けませんが、(インターネットを介して)つながることはできますし、アイデアをシェアすることも可能です。旅行で得られる体験は人々にインスピレーションを与えますが、それは動画を介しても可能です。」と語る。

現在、新型コロナの影響によって旅行するのが難しいだけでなく、旅行を促す内容そのものが自粛の流れになっており、観光業界全体で身動きの取れない状態が続いている。そんな中、実際にその場所にいけなくてもバーチャルで人々をインスパイアしよう、旅行に行けないこの状況を逆に世界中の人々とつながるきっかけにしようというポジティブな発想は、旅行への価値観を変える一石になるのではないだろうか。

また、フィンランド人の幸せは“サステナブル”であるという点にもこのキャンペーンを盛り上げる要素がある。フィンランド人にとっての幸せは、ゴージャスで特別な何かが必要なわけではなく、毎日のちょっとした習慣や各自の人生哲学に基づいており、多くのフィンランド人はそれぞれの幸せのルーティーンを持っているという。

例えば、ハピネスガイドの1人として参加しているユッカ・ヨーチニエミ氏(Jukka Joutsiniemi)にとっての幸せは自然と共にあることで、ハイキングやフライフィッシングを楽しんだり、愛犬と森へハンティングに出かけたりすることであるという。インタビューでは「幸せは日々の感謝や楽しいことを積み重ねて手に入ると思っています。ストレスを感じるために人生はあるわけではないので、楽しむための人生を送りたい。」と語っている。

高価なものを手に入れたり、特別な場所に行ったりして得られる幸せは一過性であるのに対し、毎日のルーティーンの中に緩やかな幸せを含めるフィンランド人のライフスタイルはサステナブルであり、これから困難がどの程度続くのか先行きの見えないこの時期だからこそ学べるものは大きいはずだ。

オンライン配信という新しい旅行のあり方を実践し、フィンランド流の幸せのあり方をシェアすることで新型コロナでストレスを抱える人々に安らぎのヒントを与える「バーチャル Rent a Finn」。最初のレクチャーは、5月20日20時からインスタグラム上でライブ配信される。日本語への通訳もある。ぜひチェックしてみてほしい。

【参照サイト】バーチャル Rent a Finn キャンペーンサイト
【参照サイト】Visit Finland

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