フランスを本拠地とする水処理大手ヴェオリアは、水、廃棄物、エネルギー管理の分野において、循環型経済への移行を推進するソリューションを提供する企業だ。ヴェオリアグループは2019年、全世界で9800万人に水道サービスを提供するほか、5000万トンの廃棄物を処理するなど、自治体や産業に向けてさまざまなサービスを提供している。
2020年6月、そんなヴェオリアの英国法人である「ヴェオリアUK」が、テムズ川付近の5階建ての建物にリサイクルされたアルミニウムと堆肥でできた緑の外壁を作ることを発表した。このプロジェクトはロンドン市と建築事務所「Red Squirrel Architects」の協力のもと行われ、壁に使われるアルミニウムは約2トン、堆肥は約1.5トンだという。
このアルミニウムは、ロンドン市民および市内の企業がリサイクル用ごみ箱に捨てた、飲料用アルミ缶をリサイクルしたものだ。アルミ缶はまず、ロンドン自治区の一つサザークにあるヴェオリアUKの資源回収施設で仕分けされる。そのあと金属加工業者に送られ、外壁に使うハニカムパネルに作り直される。これらのパネルが、同じくリサイクルされた鋼製梁から吊るされて壁になるという仕組みだ。また、壁面に植物を植えるために使用される堆肥は庭ごみをリサイクルして作られている。壁面緑化を導入するこのプロジェクトは、2021年に完成する予定だ。
ヴェオリアUKの最高技術責任者であるリチャード・カークマン氏は、「このプロジェクトは、人々に持続可能な廃棄物処理の必要性を示すと同時に、ごみをリサイクルすることで得られる独自の美を表現する」と話す。彼らは手間暇をかけてでも、美しい何かを求める私たちの心に響くデザインを追求しているのだ。
ただおしゃれさを追求するのではなく、「サーキュラーエコノミーを推進する」というビジョンに基づいてデザインを考える。こういった妥協のなさが、私たちにの日常生活にときめきをもたらすのではないだろうか。
【参照サイト】 City of London recycling to become innovative riverside wall