香港発・水に溶けるビニール袋「#INVISIBLEBAG」

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プラスチック廃棄物の削減は急務だ。近年、プラスチックによる環境汚染への危機意識は広がりつつあるものの、新型コロナウイルスの感染拡大の中で使い捨ての包装用品への需要が再び高まっている。新たな研究によると、プラスチック廃棄物削減の最良のシナリオを描いたとしても、2040年までに7億トン以上のプラスチックが新たに生産されてしまうことは免れないという。

そんななか、香港の過剰なプラスチック包装問題に立ち向かう現地のスタートアップInvisible Companyは、プラスチック代替ソリューション「#INVISIBLEBAG」を発表した。「#INVISIBLEBAG」は、見た目、感触、機能どれも、従来のビニール袋とまったく同じだが、「70度以上の水に溶ける」という特徴を持つビニール袋だ。

invisible bag

Image via Invisible Company

この水溶性ビニール袋には、洗剤ポッドや医薬品のカプセルなどをコーティングするために医療業界で一般的に使用されている素材と同じものが使用されている。その素材は、主にポリビニルアルコール(別名PVA)から作られ、さらに植物由来のデンプン、グリセリン、水も含まれている。PVAによって作られたバッグは一見プラスチックフィルムのように見えるのだ。

また、このバッグは生分解性・堆肥化性も有している。もし外にそのまま廃棄されることがあっても、プラスチックごみを残したり、海洋生物や野生生物に害を与えたりすることはない。埋め立て地で数ヶ月放置すると、バッグはバクテリアやバイオマス、微生物と反応して二酸化炭素と水に分解される。堆肥化は家庭で行うことも可能であり、「#INVISIBLEBAG」は日本バイオプラスチック協会の「グリーンプラ」をはじめとする4つの認証を取得している。

そして、さらに特徴的なのは、ビニール袋に印字されたブランド名のデザインだろう。これは、Invisible Companyが消費者へ伝えたいメッセージでもある。彼らは、ブランド名を目立つように印字することで、プラスチック廃棄物削減を目指す香港での運動を再燃させ、積極的な環境変化のためのコミュニティを作りたいと考えている。

街中での使用

Image via Invisible Company

Invisible Companyは、今後も製品のアフターライフを重視し、デザインの段階から廃棄物管理が容易で、自然への影響を最小限に抑えられる製品の開発を目指すという。

近年、プラスチック廃棄物の危機に対する意識の高まり・レジ袋の有料化などから、包装の環境コストを意識する機会が増えてきている。「#INVISIBLEBAG」を使うことにより、自身が購入する食品や消耗品のパッケージに使用されている再利用不可能なビニール包装について、より考えを深めるきっかけになるだろう。今後もInvisible Companyの動きを注視していきたい。

【参照サイト】Invisible Company
【参照サイト】#INVISIBLEBAG: Hong Kong Startup’s Plastic-Free Packaging That Disappears In Water
【参照サイト】Evaluating scenarios toward zero plastic pollution

※本記事は、企業名等の変更に伴い、2021年6月7日に更新を行いました。
Edited by Megumi Ito

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