子供たちが学校で授業に集中せず、スマートフォンを触ってチャットやゲームなどをする。どこの国でもある話で、勉強がおろそかになることから、学校へのスマホの持ち込みを禁止したり、授業中だけ「回収ボックス」に入れるルールをつくったりと、学校側もさまざまな対策を行っている。
そこで、サムスンのスイス支社が2018年に「スマホをフル活用」して歴史の勉強ができるアプリを開発した。“A touch of history”と呼ばれる本アプリは、SNSなどスマホを使うさまざまな場面に歴史の要素を盛り込み、スマホを触れば触るほど、あらゆる歴史の事象に詳しくなる仕掛けがされている。
たとえば、アルベルト・アインシュタインやマルコ・ポーロといった歴史上の人物とチャットをして、「何をした人なの?」と直接疑問を投げかけたり、写真のアルバムに歴史上の出来事に関する画像が紛れ込んだり、いつも見ているSNSに過去の著名人がリアルタイムで出来事を綴ったような投稿が出てきたり。簡単な歴史クイズをクリアしないと開けなくなっているアプリもある。
実際にこのアプリを使って授業を行ったスイスの学校では、生徒たちが次々と歴史の授業で発言したり、友達と一緒に「フリーダ(画家のフリーダ・カーロ)はかっこいい」と歴史上の人物を身近に感じているような発言をする場面が見られた。
子供の頃に受けた歴史の授業では、暗記することばかりを優先した思い出がある人もいるだろう。また、自分とは関係のない昔の話ととらえて、なかなか歴史自体に興味を示さない生徒もいる。
しかし、普段友達とコミュニケーションをとっているチャットツール等を介することで、より歴史を身近に感じることはできるかもしれない。仲の良い人のSNSを眺めたり、そうでなくてもスマホを長時間見てしまったりする習性を利用し、スマホ自体を歴史の教材と化してしまう斬新なアイデアだ。
現在、コロナ禍で勉強の仕方や生活スタイルが激変している。日本では今、デジタル化に向けた動きが各所で出ており、デジタル庁も創設されることとなった。行政や経済についての議論が見受けられるが、ぜひとも教育現場でデジタル改革を推進してほしい。
紋切り型ではなく最先端のものを積極的に導入し活性化させて、教育も時代とともに変化していくべきではないだろうか。
https://www.youtube.com/watch?v=fltx18qCpdU&feature=emb_logo
【参照サイト】A Touch of History – Mit deinem Smartphone durch die Geschichte
Edited by Kimika Tonuma