身体も環境も美しく。HUG BROWNEのコーヒー粕をアップサイクルしたボディスクラブ

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「もったいない」

私たちが日常生活でとてもよく使う言葉だ。「食べ残しはもったいない」とか「まだ使えるのに捨てるのはもったいない」とか、日本では誰しも「もったいない」を感じる瞬間があるだろう。しかしながら、この「もったいない」という概念は日本語独特の感じ方で、簡単に翻訳できない言葉の一つとして世界でも知れ渡っていることをご存知だろうか。

2020年10月、この日本語特有の「もったいない」の概念から気づきを得て、捨てられてしまうものに命を吹き込む新たなプロジェクトが始動した。それが、「HUG BROWNE(ハグ・ブラウン)」だ。

コーヒー粕をアップサイクルして作るボディスクラブ

HUG BROWNEの創業者である窪田亜由美(くぼた・あゆみ)さんは、あるとき目にした海の汚染と生物多様性について問題提起する海外の動画にショックを受けた。そして人間の暮らしが環境に対して非常に大きな悪影響を与えていることに気がついた窪田さんは、日本での自分自身の暮らし方を見つめ直し、海外という外の視点から日本の文化や慣習について見てみたいと考えた。そして一念発起し単身でアメリカに留学。そこで日本文化が海外にもたらす影響について学ぶと、「もったいない」という日本独特の概念にたどり着いた。

日本へ帰国した窪田さんは、この「もったいない」という日本の文化を掛け合わせて地球環境保護に貢献できる活動を始めたいと考えたという。そこで思いついたのが、これまで大量に破棄されてきた使用済みのコーヒー粕をアップサイクルしてボディスクラブを作るというアイデアだ。

 

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HUG BROWNEのボディスクラブ「エスプレッソボディショット」の特徴は大きく4つある。

ひとつ目は、これまで大量に廃棄されてきたコーヒー粕を新たな製品として生まれ変わらせている点だ。東京渋谷にあるコーヒーショップ「THE LOCAL COFFEE STAND」協力のもと、コーヒーが抽出された後の粕をその日のうちに回収し、新鮮な状態で使用している。

次に、製品のパッケージにもサステナブルな工夫を多く取り入れている点が挙げられる。まず、成分や使用方法などの必要な情報は全てビンにプリントし、外装の紙箱を削減した。加えて、使い終わった空きビンを他の用途に再利用しやすいよう、ビンに目盛りをプリントしている。さらに、蓋の上からかぶせるプラスチックフィルムによるキャップシールも削減。製品を包む梱包材にも100%リサイクル可能な素材を採用している。また、緩衝材やガムテープには紙由来のものを使用しているため、段ボールと一緒にそのまま資源ごみとして出すことができる。その上、薄紙やステッカーは環境負荷の小さいソイインクで印刷されている。

コーヒー粕独特の粒感を活かしたボディスクラブ

特徴の3つ目は、100%植物性原料で製造されている点だ。動物性の成分を一切含まないためヴィーガンにも対応しており、シリコンやパラベン、合成着色料、合成香料も不使用のボタニカル製品となっている。

そして、動物実験を行っていない点が最後の特徴だ。

2020年10月現在、HUG BROWNEの「エスプレッソボディショット」はオンラインストアで購入できるほか、コーヒー粕回収に協力している東京と福岡のTHE LOCAL COFFEE STANDでの店頭販売も行っている。

地球に寄り添いながら人々の夢を叶えたい

今回、HUG BROWNEの創業者である窪田亜由美(くぼた・あゆみ)さんに、製品と環境保護にかける思いを伺った。

HUG BROWNEの創業者 窪田亜由美(くぼた・あゆみ)さん

Q. アップサイクルの視点を取り入れたボディスクラブ、周りからの反応はいかがですか?

HUG BROWNEでは、アップサイクルのみならずヴィーガンや脱プラスチックなどサステナビリティの視点を多角的に取り入れているため、より多くの方々にご賛同いただいていると感じています。

その一方で気がついたことは、日本にはボディスクラブを日常的に使用する文化が根付いていないのかもしれないということです。アメリカで生活をしていたときにはとても身近に感じていたボディスクラブでしたが、日本に帰国してみると製品自体の数はもとよりボディスクラブを販売している国内ブランドが少ないことがわかりました。HUG BROWNEの「エスプレッソボディショット」を通して、ボディスクラブの良い点を日本国内にもっと普及できたら良いと思っています。

Q.窪田さんにとって初めての製品企画と販売。どんなことがモチベーションやパッションにつながっているのですか?

私は、自分が挑戦したいと思うことに対して周りから「無理」と言われれば言われるほど闘志を燃やすタイプです。今回の「エスプレッソボディショット」の開発段階でも、様々なところで反対意見を言われたり理解を得られなかったりしたのですが、その度に悔しさをバネにして「絶対に実現する!」と決意を強固にしてきました。

ここまで強い意思を持って突き進むことができている理由には、アメリカ留学の経験が大きく影響しています。アメリカでは、小さな失敗やリスクを恐れず、パッションの赴くままに自分の「好き」を追求している数多くの方々に出会いました。彼らの姿はとても輝いていて、帰国してからも「自分の信念を大切に取り組んでいこう」という私自身の原動力になっています。

Q. HUG BROWNEのつづりの最後についた”E”にはどんな思いが込められているのですか?

ブラウンの英語のつづりは本来”BROWN”ですが、私はあえて”BROWNE”とEを付けています。HUG BROWNE(ハグ・ブラウン)は、見せかけのきらびやかさを追求するのではなく、私たちが住んでいる地球”Earth”に寄り添いながら美容に関心のある方々の夢を叶えたいという理念を持っています。そこで、”Earth”の頭文字である”E”をつけ加えて”HUG BROWNE”としています。

取材の様子

Q. 最後に、今後の展望について教えてください。

「エスプレッソボディショット」では、環境貢献の視点を持ちつつも製品のクオリティをさらに向上させていきたいと考えています。例えばボディケア商品では、サステナビリティに配慮した製品とそうではない製品を比べると、得られる美容効果に差がある場合があります。環境配慮と美容効果。消費者の方々には、そのどちらも妥協することなく本当に納得できる製品を選択してもらえるようにしたいです。

そして個人としても、環境再生活動に一層積極的に関わっていきたいです。特に、私がサステナビリティに関心を抱くきっかけとなった海洋汚染の問題を深刻視していて、まずは海の清掃活動から始めてみたいと思っています。私自身のライフスタイルも、もっとサステナブルにしていくことが今後の目標です!

取材後記

「製品づくりも環境活動も、私はまだまだ初心者です。今はとにかくいろんなことを学んでいきたいんです!」と話してくださった窪田さん。その活気に溢れた笑顔と謙虚な心構えからは学ぶことが多い。

サステナビリティやSDGs、エシカル消費など環境や社会に配慮した活動を始めるには入り口が多くあり、途方に暮れることもあるだろう。しかしどこから手をつけようかと考えあぐねるよりも、まずは自分が楽しくハッピーでいられる方法で情熱に従って走り出せば、見える世界は段々と広がっていくはずだ。

何事にも好奇心を持って前向きに接する姿勢と新しいことを学び続ける意欲をもった窪田さん。今後の活動からも目が離せない。


【参照サイト】Hug Brown 公式ホームページ
【参照記事】Body scrubs from upcycled coffee beans! Sustainable cosmetics By HUG BROWNE

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