堆肥化できるホテルアメニティ「Green Box」で、宿泊客もサーキュラエコノミーに貢献

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ホテルの部屋にあるアメニティ。その多くが少しの時間使用された後、ごみとして捨てられている。使い捨てアメニティの廃棄問題を改善すべく、世界中のホテルでさまざまな取り組みが行われている。これまでIDEAS FOR GOODでも、ゼロウエイストを体験できるホテルや、宿泊客が残した石鹸をリサイクルするホテル使い捨てプラスチックゼロを目指すホテルなどを取り上げてきた。

そんな中、今回登場するのは、宿泊客も循環型経済の仕組みであるサーキュラエコノミーに貢献できるホテルだ。スウェーデンに本拠を置くデザイン事務所OnMateriaが開発した堆肥できるホテルアメニティ「Green Box」は、リサイクルされたポリ乳酸と小麦繊維、および植物ベースの無毒な顔料といった堆肥化可能な材料でつくられている。

GreenBox

(c)OnMateria

ホテルの宿泊客がGreen Boxを使ってから、堆肥されるまでの流れは以下のとおりだ。まず客はアメニティを使用後、アメニティの各部位が堆肥化可能か否かを判断して分別する。Green Boxは部位ごとに色分けされており、緑は堆肥化できる部位、白はバクテリアで汚染されていて堆肥化できない部位であることを示すため、分別の判断は簡単だ。

例えば、歯ブラシは毛先部分が白で持ち手は緑、剃刀は刃部分が白で持ち手は緑になっている。緑の部位は箱の緑の部分に、白の部位は箱の白い部分に入れることで、客もホテルのサーキュラエコノミー化を目指して参加できるのがGreen Boxの特徴だ。

Green Box

(c)OnMateria

分別後、緑の部位はホテルのレストランで残った有機ごみと一緒に産業施設に運ばれ、メタン化プロセスを経て10週間後に土壌とバイオガスになる。同キットは27時間以上LED電球を灯すエネルギーを生成でき、残った有機物は土壌肥料として利用できる。

Green Box

(c)OnMateria

Green Boxは今年9月、ポーランドで開催されたウッチ・デザイン・フェスティバル2020における、芸術とデザインの国際コンペティションMake Me!で優勝し、Roプラスチック賞2020の産業デザイン部門でもノミネートされている。Roプラスチック賞は、廃棄プラスチック使用の意識を高めることを目的としたプロジェクト・伊GUILTLESSPLASTICが開催するコンテストだ。

OnMateriaはプレスリリースで、「コロナ禍の後、ホスピタリティ業界は自らを再発見するタイミングにあり、企業はサステナビリティを軸として事業を進めていくべきです。Green Boxが示すように、大きな影響を与えるために大きな変更を加える必要はありません。アメニティキットのような小さなものが、私たちの生活に変化を起こしてくれるのです。」と述べている。

ホテルのごみを減らしてサーキュラーエコノミーを促進する、アメニティキットGreen Box。こういった身近な小さなアイテムがサステナブルになっていき、私たち消費者が責任ある消費をしていけば、旅をしながらもより良い環境をつくっていけるだろう。

【参照サイト】OnMateria
【参照サイト】RoGUILTLESSPLASTIC
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Edited by Tomoko Ito

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