要らないクリスマスツリーがエシカルギフトに。アムステルダムに学ぶ、循環のヒント

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1月に入ると、オランダでは街の各所にクリスマスツリーが捨てられている光景を目にする。

ヨーロッパでは、クリスマスに多くの家庭が生木のクリスマスツリーを飾る。日本人の筆者からすると、本物のもみの木を飾ることはなんとも心躍る贅沢だが、生の木を毎年どこかから切ってきてはシーズンが終わる度に廃棄する現状は、資源の大量廃棄や、エネルギー消費の観点で環境負荷となっている。実際、ヨーロッパだけで毎年5,000万本のクリスマスツリーが切られ、廃棄されているのだ。

回収場所に持ち寄られたクリスマスツリー(筆者撮影)

回収場所に持ち寄られたクリスマスツリー(筆者撮影)

オランダの首都アムステルダムでは、他のヨーロッパの都市同様に毎年1月、不要になったクリスマスツリーを粗大ごみとして回収してきた。しかし、せっかくの有機性資源を焼却・埋立処分してしまってはもったいないと、ここ数年は市内1,100箇所の回収場所に持ち込まれた生木のクリスマスツリーをコンポストし、有機性の資源として市内に循環させる試みを行っている。

資源の循環はアムステルダムの循環都市戦略の重点分野にも指定されている。これをさらに積極的に進めるため、2021年からは新たに、市内4箇所ある指定の回収場所まで持ってきた人に対して、オランダでできたサステナブルでサーキュラーなギフトと交換するというキャンペーンを始めたのだ。

コミュニティセンターの前でツリーを回収し、サステナブルなギフトと交換してくれる。

コミュニティセンターの前でツリーを回収し、サステナブルなギフトと交換してくれる。

クリスマスツリーを持ち込んだら貰えるエシカルギフト

もらえるギフトは複数あり、ツリーを持ってきた人が好きなものを選ぶことができる。たとえば、以下の3つだ。

01. クリスマスツリーからつくるホームフレグランス「EVERGREEN DEW」
ホームフレグランス

Image via FORÊT ATELIER

FORÊT ATELIERがクリスマスツリーをアップサイクルしてつくるホームフレグランス「EVERGREEN DEW」。写真はアムステルダム隣のハーレム市のクリスマスツリーをアップサイクルした際の製品で、アムステルダム市が今回提供するのは写真よりも小さいサイズである。

02. クリスマスツリーからつくる「ミツバチホテル」
ミツバチホテル

Imave via Stadshout

Stadshoutがクリスマスツリーからつくる「ミツバチホテル」。庭のどこかに吊るしておけば、オランダ在来種のミツバチに住みかを提供できる。生物多様性に欠かせない存在であるミツバチを助ける製品だ。

03. 使用済みの揚げ物油をアップサイクルしたキャンドル「Vette Vlam」
アイキャッチ用 廃棄ツリーのギフト

vette vlam(筆者撮影)

オランダでは、人の集まる場所で揚げ物がよく食べられており、その際に大量の食品油がごみになっている。そこで登場したのが、使用済みの揚げ物油をアップサイクルしてつくったCascolandのキャンドル「Vette Vlam」だ。自宅の使用済み油を利用してつくれるリフィルのキャンドル付きである。

市民の「循環」を促すアムステルダム

持ち込まれたツリーはその場で裁断機にかけられて細かくされ、その後コンポストに入れられる。なお、希望者は裁断されて細かくなったツリーを持ち帰り、家の庭にまいたり、ヒノキのような爽やかな香りを楽しんだりできる。

交換場所や日時は、アムステルダム市のウェブサイトより確認できる。

裁断されたもみの木。ヒノキのような爽やかな香りを楽しめる。

裁断されたもみの木。ヒノキのような爽やかな香りを楽しめる。

今回の取り組みに関してのFacebook広告も出された。クリスマスツリーをコンポストのための回収箇所に持ち寄り、2021年をサステナブルに始めるよう住民に呼びかけるものだ。

Facebook広告

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住民にサステナブルな生活の魅力を伝え、巻き込み、従来の「役目を終えたら捨てるのが当たり前」という考え方から社会を大きく前進させるアムステルダム市の取り組みに今後も注目したい。

【参照サイト】アムステルダム市クリスマスツリー回収のお知らせ(オランダ語)
【参照サイト】クリスマスツリー・アムステルダム(Kerstbomen Amsterdam)

Edited by Kimika

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