「アフリカへ帰れ」黒人系へのヘイト投稿を逆手に取った観光PR

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黒人系の人々に対する構造的な差別や、暴力に反対するBLM(Black Lives Matter)運動。最初にアメリカでこの言葉が伝わり始めたのは2013年だが、2020年にはジョージ・フロイド事件などを発端として世界的なムーブメントに発展し、ハッシュタグ#BlackLivesMatterが世界を駆け巡った。

一方SNS上では「アフリカへ帰れ」を意味するハッシュタグ #gobacktoafricaも一部でたびたび使われることがあり、溝はなかなか埋まる気配がない。そんなヘイト投稿のハッシュタグを逆手に取り、旅行やライフスタイルを扱うBlack & Abroadという会社が「アフリカへ帰ろう」というポジティブなメッセージに変えた観光キャンペーンを行った。SNS上で#gobacktoafricaのハッシュタグをジャックし、アフリカの美しい風景を投稿するタグとして扱ったのだ。

プロモーション動画は、ヘイト投稿から始まるが、やがて美しい躍動感あふれるアフリカの風景が映し出される。「そうだ、人類は皆アフリカから来たんだ。アフリカに帰ろう。」そう思わせるような作りだ。キャンペーンサイトでは、アフリカのさまざまなツアーを紹介している。

gobacktoafrica displace the hate

Image via black and abroad

このユーモア精神には、思わずクスっと笑ってしまう。いわれのない差別にはもちろん反対し、対抗すべきではある。しかし野次られた分だけ野次り返すことで、対立がなくなるわけではない。

かつてダニエウ・アウヴェスというブラジル代表のキャプテンを務めたこともあるサッカー選手は、試合中に投げ込まれたバナナを拾って食べたことがある。これは本来、一部の差別的な観客が選手の心を折るために行った蛮行だ。それを逆手にとって「栄養補給の支援をしてくれてありがとう」というメッセージに変換して、生中継されているプレーの合間に即興で返したのだ。この一件も世界的なムーブメントになり、多くのアスリートが、人種差別反対を表明すべくバナナを食べる動画をSNSに投稿した。

このようなユニークでウィットに富んだ取り組みがさまざまな場面で増えていくことを願う。

【参照サイト】Go Back To Africa
【参照サイト】Black & Abroad
Edited by Kimika

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