オーストラリア連邦政府が、プラスチックによる環境汚染への対応をさらに一歩進める、国家プラスチック戦略(National Plastics Plan)を発表した。戦略は、プラスチックの利用防止、リサイクル、消費者教育、河川・海洋汚染、そして研究開発の5つの柱からなる。
注目すべきは“利用防止”の項目だ。政府は、公式声明で「プラスチック廃棄物を減らす最も簡単な方法は、不要な使い捨てプラスチックを使用しないことです。製品設計を改善することが根本的な問題解決に繋がります。」と述べており、産業界に対して各種プラスチックの段階的な使用廃止を求めている。
具体的には、ポリスチレン(発泡スチロール)の梱包素材への使用を2022年7月まで、同素材の食品や飲料容器への使用と、ポリ塩化ビニル製の商品ラベルを2022年12月までに廃止する予定だ。加えて特筆すべきは、生分解性プラスチックについても2022年7月を目処に段階的な廃止を進める点である。
生分解性プラスチックといえば、植物由来の原料から製造され、使用後は自然に還すことのできる素材だと一般的には考えられている。しかし、市場に流通している生分解性プラスチックのすべてがそのような素材ではない。
その理由は「生分解性プラスチック」を定義する明確な基準値が存在しないことであり、実際に生分解性プラスチックと呼ばれていても、海中でほとんどは分解されなかったり、埋め立て材となってから分解に100年近くの時間を要したりと、ものによって性質は様々なのだ。
それならば、いっそ他のプラスチックと同等に生分解性プラスチックについても使用量を減らそう、というのが今回のオーストラリアの決定であり、プラスチック削減に取り組む多くの国が未だに「生分解性プラスチック」と名のつく製品に対して寛容である状況に一石を投じている。
同項目には、ビーチにおいて使い捨てプラスチックを削減する取り組みも含まれる。政府は国内の環境NGOであるBOOMERANG ALLIANCEと協力し、主要なビーチからプラスチックゴミの除去活動を行うほか、ビーチ付近の街で営むお店が、販売する商品パッケージを非プラスチック素材に切り替える支援も行うとしている。
世界中で急速に進む脱プラスチックの流れ。国家主導の政策は市場の動きに影響し、それだけ環境への影響も大きくなる。だからこそ、市場においてグリーンウォッシュが起こる余地をなるべく残さない戦略の打ち出しやルール整備が、今後さらに公的機関には求められるだろう。
【参照サイト】National Plastics Plan
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Edited by Kimika