チューイングガムは何からできているか、ご存じだろうか。チューイングガムを噛んだ後に残る部分はガムベースと呼ばれ、一般的にこの部分には、プラスチックの仲間である酢酸ビニル樹脂やポリイソブチレンなどが使われている。これらの原料は生分解せず、ガムをポイ捨てすると野生生物が誤飲する可能性がある。誰もがガムのマナーを守りたくなるような、工夫はできないものだろうか。
デザインに特化したフランスの高等教育機関「L’École de design Nantes Atlantique」の生徒である、ヒューゴ・マウペティ氏とビビアン・フィッシャー氏は、街で回収したガムのかみかすからスケートボードの車輪を作るという、サステナブルな取り組み方を考案した。2人によるとガムのはっきりした色と質感は、スケートボードの車輪にもってこいなのだそうだ。
同案では、ガムのかみかすを集める方法について工夫がなされている。街に「ガムボード」と呼ばれるボードを設置し、ここにかみかすをくっつけるよう呼びかけるのだ。人々が率先してくっつけたくなるように、参加した人の中から抽選で車輪の割引券が当たるという仕組みを取り入れている。道行く人の自発的な行動変容を促す、ナッジを活用した啓発と言えるだろう。ガムボードは毎週回収され、工場で車輪が作られるという計画だ。
マウペティ氏とフィッシャー氏は案の中で、ソフトキャンディのブランドであるメントスと、スニーカーブランドのヴァンズがパートナーを組んだと想定している。そのため、できあがる車輪のイメージ写真には「VANS × mentos」というロゴが入っている。ヴァンズは、アメリカのスケートボードブームの中で評判を得てきた歴史があり、それにちなんで選ばれたのだろう。
同案では、道で回収したガムがスケートボードになって道に戻ってくることから、「From the streets to the streets(ストリートからストリートへ)」という合言葉を掲げている。ストリートカルチャーのひとつであるスケートボードを最大限楽しむには、ガムの落ちていない綺麗な道が欠かせないだろう。スケーターにとっても、街の人にとっても、動物にとっても嬉しい。この活動は街の美化を推進し、私たちを風通しの良い気持ちにさせてくれそうだ。
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Edited by Erika Tomiyama