時は金なり。店舗までの移動にかかる「時間」が長いほど割引されるイケア・ドバイ

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あなたは通勤・通学や買い物など、1日に何時間「移動」しているだろうか。1日往復2時間の通勤なら、1か月で60時間。私たちは、一生のうちかなりの時間を移動に費やしている。

もし、移動に対価が生まれたら――。そこに目をつけたのは、世界的に展開する家具量販店のイケア(IKEA)だ。「移動時間で買い物」ができるユニークなキャンペーンをドバイで開始した。

キャンペーン名は「Buy with your time」。Googleマップのタイムラインで、自宅から郊外にあるイケア店舗への移動時間を記録し、会計時に提示すれば時間に応じた割引を受けることができる。まさに「時は金なり」を体現した取り組みだ。

移動時間はドバイの平均収入に基づき、1時間あたり105AED(約3,150円)に換算される(※1)。商品には、通貨と“時間価格”の表記が並べられ、お金でも時間でも買い物ができる仕組みだ。

たとえば、1時間55分で本棚(約3,177円)、49分ならコーヒーテーブル(約2,572円)、近くに住んでいても5分の移動でホットドッグ(約262円)が無料になる。

イケアは、各国の郊外に大規模な店舗「IKEA STORE」を構えることで知られる。家具や雑貨の買い物だけでなく、レストランでの食事が楽しめるなど、1日いても飽きない体験型の空間が魅力だが、店舗にたどり着くまでの移動時間がネックという人は多いのではないだろうか。

しかし、時間がかかる、乗り換えが大変といったネガティブな立地条件を逆手に取ることで、「イケアへ行きたい」といったポジティブなイメージを生み出すことに成功した。

「訪れる人がイケアに行くまでに費やした時間を還元する」という今回の取り組みは、“To create a better everyday life for the many people.”(より快適な毎日を、より多くの方々に)」をモットーに掲げる、イケアらしい斬新なアイデアだ。

もし、移動時間に対価が生まれる仕組みが世界に広がっていけば、生活の質(QOL)の向上や環境問題の解決につなげられるかもしれない。「店に来るまでの歩数に応じて商品をプレゼント」や「公共交通機関を使って二酸化炭素削減に協力したら割引券」というのはどうだろうか。

イケアのキャンペーンは、退屈で面倒な長距離移動にも、新たな可能性をもたらしそうだ。

※1 1AEDは30円で計算

【参照サイト】Buy with your Time
【参照サイト】IKEA UAE
Edited by Kimika

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